dream

□特別なんかじゃなかった
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今日の席替えで隣の席になった芥川慈郎くんは、起きて授業を受けていたのは数回。クラスにいるのはお昼まで。お昼からはどこかで寝ているらしい。そんな学校生活を送っていると、当然単位も危うくなるわけで。大丈夫なんかな?ああ、芥川くんはテニスが強いからいいのかな?余裕で高校も推薦あるのか、羨ましっ!
「おい、聞いてんのか!」
「うわ、びびった。なんすか先生。」
「芥川を呼んで来い。」

私は芥川係になった。毎回昼後に消える芥川くんを探す係りらしい。隣の席になった人は探し見つけなければ授業を受けてはいけないらしい。理不尽。だから昼後にクラスにいない女子がいたのか、納得だわ。
「じゃあいってきます。」

なんでも芥川くんは、中庭・屋上・グラウンドの端・校舎裏にいるらしい。そこまで分かっているのに今までの子は何故連れて帰ってこなかったのだろう?さぼりか、はは〜ん。


さっそく見つけた芥川。中庭のベンチで悠々と寝てやがる。あー早くクラス帰りたい。日射し強いのによく寝てられるな。
「芥川く〜ん、起きろ。」
「う〜ん、眠いC〜」

起き上がってくれない。このやろう。狸寝入りだろ。顔覗き込んでも、起きないのかよ。
「ねえ、いい加減起き…!」

「へへ、ちゅ〜しちゃったC〜。」
こいつキスしやがった!最悪、最低!
「何すんの…っ!なん、で…っ」
やばい目頭熱くなってきた。涙出そう。初めてのキスなのに。ちくしょう。

「だって、ずっと好きだったんだもん。」
「は?」
「好きだったからキスしたんだC〜」
「え、は?ちょ…」
好きって何。どういうこと?今まで関わりも無かったのに。

「急にゴミンね。顔近くて我慢できなかったC〜」
急に抱き寄せられて、耳元でいつもより低い声で囁かれて。
「もっかいキスしてい?」
頷くしかないじゃないの。

「これは二人だけの秘密だC〜」
「分かった、秘密。」

私は芥川くんと付き合った?のか定かではないが、昼放課から5時間目が始まって5分までの間を過ごした。付き合っていなかったとしても、特別な存在になれたと思った。


「今日は席替えだ。」
やったー!いやだー!窓際あああ!クラスは喜び、落胆、希望。色々な声が混ざっている。私も落胆。芥川くんと席が離れてしまう。あれ?てことは芥川係も変わる。てことは昼放課には別の子が行く。え、私達の秘密は?

席替えは私と芥川くんを対象角に離した。嫌がらせか。芥川くんの隣の席の子は頬を赤らめ喜んでた。私と目が合うと芥川くんは妖しく微笑んだ。

昼放課。私は友達と昼を済ませ、トイレに行くと言い教室から出て、屋上に向かった。一緒にいると大体の芥川くんの臭気が読めてきた。それが嬉しかった。

「秘密、ですね!」
新しく芥川係になった女の子は顔を真っ赤にして興奮した様子で屋上から出て行った。ドアの横に立っていた私なんかに気づきもしないで。
「立ち聞きとか趣味わるいC〜」
横を見ると妖しく笑う芥川くん。

「大好きだよ、___ちゃん」
キスをする芥川くんに何も感じなくて。


特別なんかじゃなかった



でも溺れきった私には
芥川くんの背中に
手を回すしかできなかった。


――――――――――――――
おかしいな、予定と違う(笑)
甘くしたかったのに(笑)

0804.私








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