dream

□私と、あんたと彼女
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最近、光が私以外の女の子に視線を向けるのが多くなったことぐらい気付いていた。正確に言えば一人の可愛らしい女の子。私は脱色し過ぎで傷んだ髪の毛、ピアスの空いた耳、濃い化粧、校則違反の短いスカート。彼女は綺麗な地毛であろう黒髪、艶やかな白い肌、くりっとした目、ひざ丈のスカート。光が視線を向けた女。偶々だと思った。興味なんかあるはずない、好みじゃない、真逆なタイプ。最初は思った、次に思い込んだ、そして現実に気付いた、最後は現実を知った。光は彼女に間違いなく惹かれている。最近メールが来ない返信が遅い、電話が来ない繋がらない、昼も別々に食べる登下校を一緒にしない。自然と消滅して行った。終わるんだと知った。不思議と悲しみは来なかった。よかった、私、光に本気じゃなかったのね。

なのに、本気じゃなかったはずなのに何故?

光が彼女と廊下で喋ってるのを、昼を一緒に過ごしているのを、二人で帰ってるのを見ただけで、視界に入れただけで、胸が痛くなる。

「すまん、別れて。」光が申し訳なさそうに言う。笑って「さよなら。」と言ってあげなくちゃ駄目なのに、別れを告げられると、胸が張り裂けそうになる。

光のために離れてあげなくちゃ駄目なんだ。でも、心は言うことを聞かない。「すまん、」と何度も頭を下げる彼を見て、このまま時が止まればいいのにと願った。



私と、あんたと彼女



どう足掻いたって、あんたと彼女の間には入れないんだ



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0802.私



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