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□蛍 side:S
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※イチャコラしてるだけ

※臨静臨…っぽい、よく分かんない(ぇw





















俺は浴衣に身を包み、静かに流れる小川の河川敷のでかい岩に座っていた。


辺りは暗く、時刻はすっかり夜。


光源は、俺の足元に置いてあるキャンドルランタンのみ。


下手な懐中電灯なんかより、この光の方が落ち着く。


ふーっ、と俺はたばこの煙を吐いた。


静かだ。


さらさらと水の流れる音が心地よい。


ちなみにいつものサングラスはしていない。


さすがに浴衣にサングラスはどうもな。


そして俺はたばこを携帯灰皿に押し込んだ。


さて、そろそろ時間か。


俺がなぜこんなところに独りっきりでいるのかというと、答えは簡単だ。


蛍を見に来た。


ここは東京じゃ珍しく蛍が見れるスポットだ。


しかも知る人ぞ知る場所のため、他に人はいない。


俺にとっちゃ絶好のロケーションだ。


見れっかな、と俺は我ながら子供っぽいと思いつつ、その出現をわくわくと待つ。


「…だーれだっ!」


俺の目が誰かに隠されたのはちょうどその時だ。


しかし誰か、なんてとっくに分かってる。


「…何やってんだ、臨也。」


臨也だ。


俺の、恋人。


昔は喧嘩ばっかりだったが、紆余曲折あって今はそんな関係だ。


「あったり。さすがシズちゃん!」


そう言って、臨也が俺の座る隣の岩に腰掛けた。


臨也もまた、浴衣姿だ。


こげ茶色の浴衣。


シンプルだが似合うのだから特に文句はない。


ちなみに俺は抹茶色だ。


裾の方に波のような模様がある。


臨也が俺の金髪に似合うように選んでくれた浴衣だ。


「遅ぇよ馬鹿。」


「ケチだなぁ、良いじゃないちょっとくらい。」


「誰がケチだ。」


俺がそう言っても、臨也はくすくす笑うだけ。


昔からそうだ。


まぁもういい加減慣れたがな。


「っていうかシズちゃん、本当にここ気に入ってくれたんだね。苦労して探した甲斐があったってもんだよ。」


実のところ、蛍が見たい、と言い出したのは俺だった。


「夏と言ったら蛍だろ、やっぱ。」


「まったく…そういうとこは名前通りなんだから。まあそんなところが好きなんだけどね。」


「…馬鹿野郎。」


俺は照れ隠しにそっぽを向いた。


「…あっ。」


すると臨也がそんな声を上げた。


「ん?」


「今、蛍見えたよ。」


「本当か!?」


「シズちゃん、声立てちゃ蛍逃げるよ。」


「…っと、悪ぃ。」


俺はいけないいけない、と自分に言い聞かせて臨也が指さした方向に目を凝らす。


「ほら、あそこ。」


「…お。」


すると一匹の蛍が、ここから遠くない中州の草むらにとまっていた。


「良かった、今年もちゃんと見れそうだね。」


「おう。」


ひそひそと2人でそんな会話をする。


するとまたその近くで、別の蛍が光った。


蛍の数は徐々に増えていき、俺たちはたくさんの蛍に囲まれていた。


俺はキャンドルランタンの光を消す。


「綺麗だ…。」


「そうだね。」


蛍の緑色の光が、俺の心を癒していく。


こういう自然の中にいると、俺は何もかも忘れることが出来た。


うざったい滞納客、都会の喧騒、汚い空気、ループのような日々…暴力。


俺は、自分に怪力があることさえ忘れられた。


こんなに小さくて、それでいて静かに、力強く輝く様子は、俺の悩みなんて吹っ飛ばしてくれるほどの綺麗さだった。


安息、言ってしまえばそんなものだろう。


「…ねぇ、シズちゃん知ってる?」


「あ?」


「蛍の寿命って、大体一週間くらいなんだって。」


「…悲しいこと言うなよ、ったく…。」


「まあそうなんだけど…それで、飛び回ってるのはほとんどがオスで、いわば光ってるのはメスの気を引くためなんだって。しかもこの期間、餌は水だけ。まぁ我慢してるわけじゃなくて、それで十分らしいんだけどね?でもそれでいて、蛍は水につかると溺れ死んじゃうんだ。」



「ほぉ…。」


「…本当、儚いよねぇ。」


臨也は、そこで少しだけ顔を伏せる。


「こんなに綺麗に光ってるくせに、実はそういう厳しい中にいる。でも本人たちは自分の寿命も知らないし、泳げないことも知らないんだ。」


「…。」


俺はそんな臨也のうんちくを聞きながら、なおもぼーっと蛍を眺めていた。


しばらく沈黙が下り、蛍を2人で眺めていたが、ふと思い立って俺は口を開く。


「…でもそれって俺たちも同じだろ。」


「…え?」


「俺たちだって、いつ死ぬかなんて分からねぇ。」


「でも人間はこんなに美しくないよ。」


「お前は人間の汚い部分ばっかり見てるからだろ。」


「ははっ、酷いな。でもシズちゃんに関しては違うけどね。」


「…。」


またこいつはサラッと…。


恥ずかしくねぇのかよ。


「あれ?シズちゃん、顔赤くなってる?」


「…っるせ。」


「かーわいい。ま、俺からしてみれば、シズちゃんはすべてが美しいんだけど。」


「…おまえなぁ…。」


聞いてるこっちが恥ずかしい…。


別に嫌な気分は…しない…けどよ。
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