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□君と一緒に、
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※十/二/国/記パロ。有無を言わさず非公式

※管理人かなり前に十/二/国/記読んだのでいろいろ原作と違うかもしれない危険性

※原作の設定がすごい細かいので知らない方は分かりづらい危険性(説明は入れてますが…)

※原作で芳国の麒麟が行方不明ということで…芳国事情をいろいろ捏造

※シズちゃんが泰麒みたいなポジション

※皆誰おま状態

※本当いろいろ捏造(使令とか完全オリジナル)

※時系列?なにそれ美味しry

※来神

※切、臨也さん片思い



























それは俺が1年だったときの話だ。


「いいぃざぁやああああ!!!!」


「おー怖い怖い!」


俺とシズちゃん、こと平和島静雄はその日も喧嘩をしながら街中を走っていた。


鬼の形相で標識片手に俺を追ってくるシズちゃん。


いつも通りだった。


学校終わりに偶然顔を合わせ、そのまま60階通りで追いかけっこ。


もちろん決着は着かない。


大抵俺がシズちゃんを撒く率が高いけど、中途半端に喧嘩が終わって次の日、また次の日も俺たちは同じことを繰り返す。


退屈しのぎにシズちゃんへ不良を送り込んでその様を眺めたり、ナイフで彼を切りつけたり。


それが、俺の日常。


卒業までずっとこんな調子なんだろう、といつも通りのことをいつも通りに俺は思っていた。



そう、“その日”までは。








 ジャッ


俺は足を止め、素早く彼の背後に回り込む。


不意を突かれたシズちゃんが動揺している隙に、俺は彼の脇腹辺りにナイフを振るった。


 ビリッ


シズちゃんの制服のYシャツが破け、鮮血が舞う。


と言ってもシズちゃんだから大した出血量ではないんだけど…。


「…っ…!!」


ナイフを構えたまま、一歩彼から距離を取る。


そして彼の背に向けて言った。


「…シズちゃんってさぁ、一体全体何でそんなに丈夫なわけ?」


結構深くやったつもりだよ?、と嘲笑うように付け足す俺。


これでまたシズちゃんの苦しむ顔が見られれば面白いものだ。


そんな考えでただ何気なく、言ったつもりだった。


いつも通りにキレてくるんだろう、なんて思いながら。


しかしシズちゃんは何も答えず傷口にそっと手を当てると、手を正面に持ってきてそこに付いた血をじっと眺める。


シズちゃんは血を見て、一瞬表情を歪めた。


そしてすぐにギュッと手を握る。


まるでもう見たくない、というように。


そして驚くことに、俺と正面から向き合うように体を少しずらすと、何かに怯えているような不安そうな表情で


「…お前は、何でだと思う。」


と聞いてきた。


俺は見たこともないそんな彼の表情に一瞬ナイフを取り落としそうになる。


あのシズちゃんが…?


いつもだったら笑い飛ばすところだが、この時ばかりは動揺が優っていた。


「…君が化物だからだろ?」


平静を装って、俺は答えた。


“化物”


この言葉がシズちゃんにもたらすダメージは知っている。


シズちゃんが1番毛嫌いする言葉。


何とかいつもの調子に戻らないと…。


シズちゃんに流されるなんてまっぴらだよ。


でもやはりシズちゃんはいつもと違う様子のままだった。


「…本当に俺は化物なのかもな。」


今にも泣き出しそうに呟くシズちゃん。


内心びくりとしながら、俺は続けた。


「…だからそう言って「いや…そうじゃなくてよ…。」…?」


「例えなんかじゃなくてよォ…“人間じゃねぇ何か”…って意味で。」


「思考回路大丈夫シズちゃん?元々悪かったくせに悪化した?」


ほら、いつもみたいにキレなよシズちゃん。


俺にキレない君なんてむしろ気持ち悪くて調子狂うんだけど?


「…そう思うならそうでもいい…。でもよォ…何かつっかかるんだ。」


あぁもう…。


こんなシズちゃんつまらないよ。


「ちょっとシズちゃん、いい加げ「臨也…俺が“生まれつき”金髪だ…って言ったら信じるか?」…は?」


俺が意味の分からない会話に終止符を打とうとするも、シズちゃんが遮る。


にしても生まれつきだって?


「シズちゃん、君純日本人でしょ?遺伝子の突然変異?」


「この力も遺伝子の突然変異だって言うのか?」


「良いかいシズちゃん、君に理屈なんて当てはまらないんだ。頭で考えるだけ無駄なんだよ。」


…はぁ、何ムキになってるんだろう俺。


「何処かに原因くらいあるはずだろ…!!」


「ないよ。あったとしても俺の知るところじゃない。」


「血も怖いんだ。」


「普通の人は怖がるもんでしょ?まさか血液恐怖症とかなわけ?」


「その比じゃねぇ…。あんまり喧嘩しすぎて血を嫌ってほど見たとき、血の匂いを嗅いだとき…体が強張るんだ。人前では何とか耐えられる…だけど家に帰った後とか酷ぇんだよ。玄関入った瞬間、全身まるで拒絶反応みたいに痙攣(けいれん)し出したり…やべぇ吐き気して腹の中のもん全部吐き出して、それでもまだ吐き気止まんなくなったり…いきなり意識飛ばした時だって…。

だから俺は暴力なんか嫌いなんだ。」


確かに異常だ、と思った。


だけど残念ながら、この時の俺に彼を信じる義理も証拠もなかった。


あぁ、いい加減この話に付き合うのも面倒くさくなってきた。


俺は半分自棄に、こう言ってやった。


「だったら君と同じ“症状”の化物が住んでるとこでも探し当てて住んじゃえば?“生まれつき”金髪で血が怖くて、怪力で頑丈でなかなか死なない化物のいる所。」


君の居場所はここじゃないのかもよ、と付け足して。


するとシズちゃんはゆっくり目を伏せる。


「…。」


悲しそうに、切なそうに。


「…はぁ。」


すっかり喧嘩する気も萎えてしまった俺はナイフをしまう。


「飽きちゃった、もう俺は帰るよ。」


俺は彼に背を向け、帰途についた。


シズちゃんもシズちゃんの方でもう喧嘩する気はないような気がしたから。


「臨也…。」


不意に、シズちゃんが弱々しい声で俺を呼ぶ。


もううんざりだった俺は、適当に手だけ振ってその場を離れた。






この時、まさか俺の言うシズちゃんの本当の“居場所”が、“異世界”という形で存在していたなんて…ましてその“異世界”での俺たちの立場がどういうものかなんて…毛ほどに知る由もなかったんだ。






やがて、10メートルは歩いただろうか、という時になって突然強風が吹き荒れた。


背後からだった。


「…!?」


俺は体勢を崩されながらも後ろを振り向く。


 カラン…


「え…?」


そこにシズちゃんの姿は無く、代わりに彼によってひん曲げられた標識だけが虚しく落ち、転がっていた。




















それ以来、シズちゃんは行方知れずになった。
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