雨の波紋
□第9章 砂の城
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青と黄色で彩られたユニフォームに、黒髪がなびいている。
「なんで……」
蹴り上げられたボールは雷となってゴールへ入る。
髪を掻きあげて、蒼い目がこちらを向く。
近付いてくる、青。
同じ顔、同じユニフォームを纏った明の姿に、恐怖した。
第1話 再会
「久しぶりだな!!炯」
さすがの炯も驚いた様子で、すぐには言葉が出ないようだった。
サプライズ成功か!?
…って違う。
本気で驚いてる炯なんて、珍しいもの見れたけど、別に内緒にするつもりじゃなかったんだが。
メールとか送ってたし。
あんまり茫然としているから、ふわふわした感じの男の子に「炯ちゃん?」って、心配されている。
「あれ?明じゃないか!」
「なんでうちのユニフォーム着てるんだ?」
「バックアップチームに入ったんだ。」
「バックアップチーム?」
「お前ら雷門の控えチームってことだ」
後ろから来た杉森に説明が適当すぎると頭突かれた。
頭のトゲトゲ潰してやろうかと思ったけど、シャドウに止められた。
「そんなものがあったのか…」
「ああ、ちゃんと理事長の許可も貰っている。
今日お前達が戻ってくることも、理事長から聞いていたんだ。」
「炯ってば、何も言わねーんだから。俺、炯が雷門についてったの知って、バックアップチームに入ることにしたんだ!!」
炯は少し困惑したように笑う。
あれ?なんか変だ。まだ驚いてんのか?
「お母さん達…怒らなかったー?」
「応援してくれるってさ」
炯が雷門で戦ってるから、なんて言ったら猛反対されるのわかってたから、それは言わなかったけど。
「でもここ、帝国とか案外近いのに…危ないよ?」
「え、なんで危ないんだ?」
「俺の母さんと父さんが影山と色々あってさ。
前、影山が家まで来て俺を帝国に誘いにきたもんだから、警戒してんだよ」
「そうだったのか…」
「でも影山って奴、死んだんだろ?
大袈裟だよなあ」
「大袈裟じゃないよ。
明に何かあったら…大変じゃない!」
語尾が強くなったので、ちょっと怯んだ。
「う…。まあ、危ないからって、母さん達も一緒に来てくれたんだけど」
不意に校門の方を見たら、買い出しに行ってくれていた両親が、帰ってくるのが見えた。
指差して炯に知らせると、炯は表情が変わった。
「大丈夫だって、母さん達怒ってないし」
「ん、わかってる…」
「せっかく会えたんだし、話して来いよ!」
久しぶりの再会なんだし、母さん達も少しは頭が冷えているだろう。
炯の試合は俺がリビングのテレビでずっと見てたし、必然的に目に入っていた筈だ。
母さん達も炯を見直したんじゃないかな?
炯の背中を押せば、丁度二人がこちらに歩いてくる所だった。
グッドタイミングだ。
俺は心の中でガッツポーズをした。
2011.2.22
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明のターン。鈍感さ丸出しですね。