雨の波紋

□第2章 独り言
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「3分間で得点が多い方が勝ち。いいかしら?」

「もちろん。いつでもどーぞー?」

吹雪も頷く。


「円堂、あの子さっきの…じゃないよな?」

「似てるけど、全然感じが違うな。双子かなにかじゃないか?」


「なんだ、あのふざけた野郎は・・」

「なんか胡散臭い感じの奴だなー。あたしちょっと苦手かも。」

「やる気がないって訳じゃないと思いますけど・・・

・・・何処までが本気なのか、よくわからない人ですね」



「あはは、そんなに嫌わないでよー。まだ、何も始めてないでしょー?」

炯の返事が返ってきて、一同はドキリとした。

「・・・き、聞こえてたのか・・。」


炯は全く気にしていないようで、こちらに手を降っている。





瞳子監督の始めの合図で、吹雪はボールをとった。


炯はボールを奪おうと積極的に足を出すが、吹雪の素早いボール裁きに、簡単には奪えない。



「・・しょうがないなぁ」


炯は突然よけて、吹雪に道を開けた。

「「「え!?」」」


吹雪がドリブルで上がるかと思いきや、いつの間にかボールは炯の元にあった。

「油断は、禁物だよ?」

にこりと笑った。



「どうなっているんだ?さっきまで吹雪が持ってたのに・・」

「おそらく、わざといったん道を開けて、吹雪が前に出た所を奪ったんだろう。」



「つまり、フェイントだな」

「簡単なようだが、今のは実際にやるのはなかなか難しい。

タイミングが遅いと奪えない上に、早ければ抜けられやすいからな」



炯はドリブルで上がっていく。

「アイスグラウンド!」

またもや吹雪にボールをとられる。



即座に吹雪はFWに切り替わった。

「おっしゃあぁ!まずは1点だ!!」

言動が変わった!?




「『エターナルブリザード』!!」




こんなところから…?

ゴール前に滑り込んで身構える。


「うわ…冗談きついなぁ;」


炯は吹雪のシュートを蹴り上げる。


が、止まらない。


炯ごと突き飛ばされた。


「痛たたた…」


炯はジャージをはたいて立ち上がった。


「ふー…君のシュート止めるの、私には難しいなぁ。

そもそもDFじゃないしー


…次からは、打たせないことにするよー」


「ふん、やれるものならやってみなぁ!」


ほんの数分前とはまるで人が違う。

チームメイトも驚いてない。いつもなの?




「・・・。君って、面白いね」







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