本だよ、本。
□鬼畜攻め。
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桐生「……なんだよ、まだ残ってたのかよ。」
桐生慧太は走って教室に向かった。
家に帰る為に。
夕日が教室の中を照らす頃、
芦屋一樹はぼんやりと黄昏れていた。
今の時刻は午後五時。
部活もとっくに終わっているはずである。
芦屋「ちょっとな。」
そう言って芦屋ははぐらかした。
桐生は特に気にせず帰る支度をしだした。
桐生「……?」
芦屋「……(ニコニコ)」
気味が悪い。
芦屋は普段から騒ぐようなヤツじゃない。
しかし、何も無いのに笑っているヤツでもない。
桐生「あ、あのさ、芦屋はなんで残ってんのか聞いても良いか?」
この空気が気まずくなった桐生は無理矢理話題を出した。
芦屋「あぁ、それ?別に良いよ。」
話が続くことに安堵した桐生。
だったが……。
芦屋「……(ニヤリ)」
その後、
「聞かなければ良かった」
と、後悔することを桐生はまだ知らない―――。