向かい風で重くなった扉を押し開ける。 屋上は天気もよく、吹く風が気持ちよかった。 フェンスに手を掛け、下を覗くと未だに若松先生たちが走り回っているのが見える。 『 ‥‥ !』 雲の塊に隠れていた太陽が顔を出した瞬間。 一瞬だけきらりと何かが木の中で光った気がした。 私は反射的に外へと走り出していた。 ――…‥ 。 目的の木へとたどり着いた私は上を見上げる。 「 ‥ キミは馬鹿なの?」 「何であんなとこで転ぶんだコラ!」 「す、すみませ ‥ っ」 「 ‥‥ この騒ぎだと美羽にバレるのも時間の問題だね」 4人はひそひそ、と木の中で話していた。 『 ‥ みーつけた』 「「「「 ‥‥ !」」」」 私に気づいた4人はびくりと肩を揺らす。 コロネロだけじゃなかったのか。 「美羽 ‥ ごめん」 「 ‥ 怒ってる?」 ふよふよと降りてきた双子を抱き締める。 『怒ってないよ。 ‥ 4人とも、無事で良かった ‥ 』 「 ‥ ごめんなさい」 「オレも悪かったぜコラ ‥ 」 木の上から飛び降りて来た2人のおしゃぶりが光った。 さっき光ったのはみんなのおしゃぶりだったんだね。 私は謝る2人の頭をくしゃくしゃと撫でてあげた。 「おーい、美羽!」 『繭ちゃん!いたよー!』 若松先生たちと繭ちゃんが此方に駆けてくる。 『すみません、お騒がせしました』 私が深く頭を下げると、若松先生は、大きな声で笑いながらガシガシとコロネロとスカルの頭を撫でた。 「ハハハ!姉ちゃんに会いに来たんだな!小さいのに偉いなあ」 「 ‥‥ 年の離れた姉弟と従姉妹ってことにしといた」 『あぁ、ありがとう』 私と別れた後、繭ちゃんは若松先生と校長先生に掛け合ってくれて、今日は教室内で面倒を見てもいいと言ってくれたらしい。 そして、たまになら遊びに連れてきてもいいと言っていたそうだ。 こうして、お騒がせな事件は幕を閉じた。 . |