「手伝います」 ぴょん、と踏み台に飛び乗って私の横に来たのは風。 布巾を持って待機しているのでお皿を洗って風に渡す。 「 ‥ スカルが、あんな風に意見を言うのは久しぶりに見ました」 『そうなの?』 「私が言ってもなかなか上手くいかなかったもので ‥ 」 なるほど、風はみんなのお兄さん的存在なんだ。 面倒見が良さそう。 「貴女には、人を変える力があるんですね」 『そんな大層なもの持ってないよ』 「ありますよ」 微笑まれて、なんだか凄く恥ずかしくなった。 「マーモン、ちょっと手伝ってください」 「ム ‥ ?」 ふよふよと飛んできて、足元に降りる。 「お皿を棚にしまってくれますか?」 「うん」 マモちゃんが触手でお皿を丁寧にしまっていく。 風が拭いて私が洗う。 その作業の合間に語るように話し掛けてくる。 「マーモンがあんなに明るい表情をしているのも久しぶりです。 ‥ いつも思い詰めたような顔をしていましたから」 非力な自分を責めているのだろうか。 嬉しいような、悲しいような。 そんな顔で、風は私にありがとう、と言うのだった。 . |