gemello【ジェメッロ】

□戦備
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中世欧羅巴の貴族の衣装に似た軍服のようなデザインの衣装に身を包んだ二人の美青年は、お互いに身嗜みを整え合い、瞳を細め微笑んだ。


「なかなか似合うな」

「なつもね」


今まで着ていた服だと、この街では目立ってしまうという事で、光圀から頂いた衣装に着替えた二人は、全身が映る大きな鏡の前で腰に手を宛てた。


「……やっぱりスクリーンの向こう側の世界に来ちゃったんだよ、なつ」

「……うん、そんな気がする……」


光圀の話を二人なりにまとめると、この街【タヴォリエーレ】ではモンスターが現れ、人々は武器や魔法を使って戦うらしい。つまり、よく有るゲームの内容だ。街には教会や万屋、鍛治屋等が存在し、お金は役所から頂戴するそうだ。
二人は同時に頬を掻いた。


「納得いかないよなぁ」


記憶が途切れ途切れの二人は溜め息を吐く事しか出来ない。光圀は他の街の住人だったのでは、と言っていたが、そんなはずはない。
一階から嗅覚を刺激する暖かい香りが上ってきた。


「着替え終わっておるな。準備が出来たから、食べなさい」


二階に二人を迎えに来た光圀は、初孫に向ける穏和な眼差しで二人を見詰めた。


「「はい!」」


三人は雑談をしながら階段を下りて行く。
広い室内に広がる美味しい香りに二人は瞳を輝かせ、喉を鳴らした。


「……冷めてしまうぞ?」


階段の途中で立ち止まる二人に、光圀は不思議そうな声色で声を掛けた。二人は慌てて席につく。


「「いただきます!」」


育ち盛りな二人は勢い良く皿の上のモノを掻き込む。「良いお嫁さん」なんて言葉が脳裏を過ったのは、二人だけの秘密だ。


「そんなに慌てずとも、盗む輩など、おらんわ」


呆れたような優しい言葉に、二人の顔が綻ぶ。
風鈴のような音色が、外の冷えた微風と共に室内にやって来た。


「じーさん、これ、よろしくー……って、飯の時間だったか」


中世欧羅巴の貴族の衣装に似た軍服のようなデザインの衣装を着崩した美男は、菫青石【アイオライト】の瞳を丸くし、煙水晶【スモーキークウォーツ】の髪を掻き上げた。


「気にせんで良い」

「……っていうか、そのガキ共どうしたんだよ……!」


少し慌てた様子の美男の額に、うっすらと汗が滲む。光圀は山菜を口にした後立ち上がり、美男が持ってきた剣に触れた。綺音と水月は箸を口に付けたまま二人の様子を観察している。




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