gemello【ジェメッロ】

□プロローグ
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「この世界の誰よりも、君の事を愛している」
「そんな偽り染みた台詞は言わないよ」
「だって、最初から君は、僕だけのモノなのだから」


狂おしく咲き乱れた一輪の華。
見下ろす先には妖艶な水面月。
その瞳に映るのモノは、それ以外に何もありはしない。


彼はひたすら求め続けた。


何時からだっただろうか?こんなにもこの世界が歪み始めたのは。
拍車の掛かるその思いを、止める事が出来るモノなど、在りはしない。
時は刻み続ける、横暴な歴史書を。人形は歌い続ける、悲痛の讃歌を。


「まぁだだよ」


穢れを知らない少年は、嗚呼、その身を暗夜に委ねてしまう。




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