primavera【プリマヴェーラ】

□醜い家鴨の男の子
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「素直に認めりゃいいのに」


双子のぶっきらぼうな言い方が、いかにも嘘臭く、フィリアは自然と口にしていた。


「「違うって」」

「俺は、チェインもシャインも大好きだよ?」


嫉妬する要素がどこにあるのか、今一つ解っていないリリックは、「自分は、チェインとシャインとも、仲の好い兄弟みたいたモノだと思っていたけど、俺の独り善がりだったのかな?」と、不安に思い、ショックで濡れた瞳で二人を見上げた。


「「僕等もリリックのこと、大好き。僕等が言いたいのは……」」

「言いたいのは?」

「「……気にかけてもらってる、ラディが羨ましかっただけ」」


彼等はバツが悪そうにリリックから瞳を逸らした。元々、嫉妬心の強い二人。大の仲好し(二人曰く、大事なオモチャ)が他人を思うのが、気に食わなかったのだろう。


「やっぱりな」


四人の関係をよく理解している面々は、保護者のような気持ちで、彼等の様子を見守っていた。


「なんだよ?俺、いっつもお前等のこと、心配してんじゃん?」


双子の事を一番理解しているリリックだが、ラディ絡みの二人の感情は、未だに理解しかねている。


「ラディさん、早く帰って来てくれるといいですね」


この、どうにも表現の仕様のない微妙な空気を変えようと、アリスが滅多に開かない口を開いた。


「俺がどうかした?」

「ラディ!」


アリスの言葉が嬉しくて、「そうだよね」と、笑顔で返そうと思って開いた口は、愛しの彼の名を呼んだ。


「「お帰り。早かったね」」


双子は、先程までの膨れっ面とは対照的な、悪戯っ子の笑顔で彼を迎えた。何だかんだで、彼等もラディの帰りを楽しみに待っていたのだろう。


「予定より、早くすんだからね。あ、そういや、メアリーに会ったよ」

「何か、言ってましたか?」

「明後日、境にくるってさ」

「そうですか。久しぶりに会えますね」

「……さかい……めありー……?」


テンポよく進んでいく会話の中で疑問が生まれたアリスは、その言葉を呟いた。




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