そしてΩの時代へ

□宿命の娘
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『審判ノ時がキタ、灰ノ天秤ハ動ク。』
 ーー大なる母神ガイアの象徴たる不死の大蛇がある日前兆もなくアテナ神殿に現れて以上の言葉を吐いたのは、神話時代から繰り返された冥王との聖戦がようやく終止符を打たれた一年後だった。自身のエイトセンシズの覚醒とアテナの助力で、聖戦でなくなった聖闘士たちが地上で活動する肉体と命を再び得てからまもなくのことだった。 
 蛇の出現と同時に女神神殿へ召集された聖闘士たちは、その言葉ーーガイアの予言を聞いたアテナの顔色を見て、みんな一様に途轍もない巨大ななにかが起きる予感がしたーーあらゆる難敵を打ち砕き、地上を守ってきた戦女神の顔色が、これまでみたこともないほど蒼白になったのだから。
 「・・・」
 心配する戦士たちに振り向いて、アテナは唇を震わせてなにか言おうとしたが、感情の動揺からか、つい言葉が出てこず、アテナはうつむいて沈黙した。
 汗のつぶが床におちる音すら聞こえるほどの沈黙の中、アテナは小宇宙を震わせてすべての戦士に言った。
 『・・・追って、お話しますーーでも覚悟してください、おそらくこれから私のあり方や聖域のあり方、なにもかも変わるでしょうーー時代が、変わったのだから。』
 思えば、その時から、すべての事態が加速したのだろうーーΩの時代に向けて。



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