蒼星の詩

□was ki ra presia reen
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「保護…ですか?」
わが女神からの意外の要望を思わず聞き返したのは誰だったか。
アテナも自分の要求はいかに無茶だと理解しているらしく、真剣な表情で自分の戦士たちを見つめて、
「はい、大変な要求になりますが、この事件の犯人と思われる「少女のような存在」を保護ーーいえ、聖域まで同行してもらえるよう、説得してほしいのです。
ーー大変難しい任務になるでしょうが、その少女の説得が難しいと思われる場合私も参ります、でもまずはあなたたちで説得してみてください」
と告げた。

「アテナ…するとアテナは、その少女の正体になにか心あたりでもおありでしょうか?」
「心当たり…はなくもないんですが、確証はないのです。」
だからこの話はあくまで可能性の一つとして考えてくださいね、と言っておき、アテナはことさら慎重な様子で口を開いた。

「私は思うのに、その少女は、「ガイア」の一人ではないかと」
「ガイア?そのガイアですか?ーーギリシャ神話の、大地の母の…」
ガイアといえば、ギリシャ神話の大地母神として有名なわけだが、しかしそれにしてはアテナの言い方がおかしい
「ガイアの…一人、ですか?」
ガイアは一人、というか一柱しかないでは、とアルバフィカは後輩と顔を見合わせていぶかった。一方、乙女座たちは特に驚いた様子も見せず、ただアテナの話に静かに耳を傾けているだけだったのは好対照だった。

「ええ…アフロディーテは先ほどギリシャ神話と言ったわね。でもね、本当のことを言うと、人間世界で伝わる神話は神の世界の真実とは限らないのよ」
お恥ずかしいことに、私も以前時の神クロノスと会った時初めてそのことを思い出したわけです。
と人としていきる女神は一つ小さく苦笑した。
「って話を戻しますけど、ガイアというのは、神話では一柱の神として伝わったのですけど、本当はクロノスが時そのものであると同じように、ガイアも地球そのものなんですよ。正確といいますと、ガイアは地球という星の精神に当たる部分なんです」
「…地球の、精神ですか?」
「あら?もしや地球はただの物体かなにかと考えていたんですか?違いますわ。地球はちゃんと「生きて」いるんです。
まあ簡単に説明すると、地球にも小宇宙が宿しているんです。」
「地球に小宇宙…?」
「ええそうですよ、といってもその小宇宙はあんまりにも巨大で身近ですから、誰もその小宇宙を感じ分けることができないんですけどね。って話を再び戻しまして。ガイアはその地球の小宇宙に宿る精神、というわけなのですけれど。人間や私たちのような神と違って、地球そのものであるガイアの精神の内部構造はそれはそれは複雑で…ガイアを一つの個体としてみることもできなくもないんですけど、でもそれはあくまで全精神体の一種の集合体ーー仮に「地球総意(ガイア・コンセンサス)」と呼びましょうーーであって、本当のところはもっと細かく一個一個の小さな精神体があって、それぞれこの惑星の循環や生命活動の一部となって、この惑星を太古から今まで支えてきたわけですーーだからほら、冥王が私に倒されると冥界は崩れたんですけど、海皇が私に封印されても海は何事もないように存在しているんですよね?言ってみれば私たち世代の神は惑星総意と人間の間の存在のようなものです。」

 一気に説明してのどでも乾いたのか、アテナは水を飲んで一息をついた。
 なにやら途方もない重大な話を聞かされた気がするが、あまりにも壮大な話なので、アルバフィカたちはどう反応すればいいのかわからなかった。
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