リクエスト+イベント創作
□瞳から零れる涙を拭って(火かな)
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君は
優し過ぎるから
Please don't cry.
「またオコシくだサイマセ〜」
変な店員に見送られ、コンビニを出る。
「っと…おい、兄ちゃん待てよ。」
「あ?」
呼び止めてきたのは、柄シャツを着た、いかにもその道っぽい男二人。
「なんだ…」
「今よぉ、すれ違い様に兄ちゃんの肩が当たったんだわ。」
(…いちゃもんつけやがって…)
この顔のせいか、こういった類いの絡まれ方には慣れた。
(面倒くせぇ…)
「聞いてんのかぁ兄ちゃん?」
「………」
普通の奴なら、ビビってすぐにでも謝罪するところだろうが、こういう奴は謝ったところでしつこく絡んでくるのがオチだ。
なら、何も悪くねぇ俺が謝んのもおかしいだろ。
「聞いてんのかって言ってんだろうが、あぁ!?」
相手にするだけ無駄だと俺はシカトを決め込み、相手の脇をすり抜ける。
「おいおい、逃げんのかぁ?んな顔してダセェなぁ」
それでも絡んでくるのは目に見えている。
(…うぜぇ)
「こら、なんか言えよ。」
「びびってんのかぁ?」
(…もちっと離れたら、やるか。)
騒ぎにならねぇよう、コンビニから距離をおいた場所で片付けようとしていたところに
「何してるんですか?」
あいつが現れやがった。
(なんでこいつが…)
星奏の小日向かなで。
全国大会を目指す、ライバル校の人間だ。
「あ?なんだ嬢ちゃん」
「…火積くんに、ご用ですか?」
(こいつ…出しゃばりやがって…)
「口出すんじゃねぇ…」
余計に面倒なことになるのは御免だと、小日向相手に凄んでみるが
「高校生相手に、なんのご用ですか。」
小日向は聞いちゃいねぇ。
(っ…こいつ…)
その目は真っ直ぐに柄シャツの男たちを捕らえ、俺なんか視界に入っちゃいねぇ。
「お嬢ちゃん、こいつの女か?」
「男庇うなんて、健気だねぇ〜」
「用がないなら、火積くんお借りしていいですか。」
「あのねぇお嬢ちゃん、おれらだってこの兄ちゃんが慰謝料出してくれさえすれば、なんの用もないんだよ。わかる?」
「慰謝料っていくらですか。」
至って真顔でそう問いかける小日向。
「…小日向、相手にすんじゃねぇ。」
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