コルダ3創作

□退けない(冥vs火)
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「危ねぇ…」


「ごめんなさーい!!」


慌てた様子で駆けてきた少年は、ぺこぺこと頭を下げる。

その必死な謝罪は、罪悪感からか相手の顔を見たからか。


「気ぃつけろ。」

「は、はい!すみませんでしたっ!」


ボールを手にして逃げるように去った少年に、彼は溜め息ひとつ。


「びっくりしたぁ…」

「すまねぇ。」

「ううん!助けてくれてありがとう!まさかサッカーボールが降ってくるとは…」

「あんたが無事で何よりだ。」

「火積くんのおかげだよ!」


助けられた彼女は、未だ彼の腕の中。
















それを見たのが、


(あそこにいるのは…小日向かなで…)


冥加玲士であった。


(談笑の相手は…至誠館の火積、だったか。)


距離が距離なだけに、二人の表情は見えない。

しかし、和やかな空気は伝わってくる。


(…暢気なものだな、小日向かなで。)


彼が、意も知れぬ不快感を感じたその瞬間。


(…!?)


“それ”が彼の目に飛び込んできた。


「あの、男…っ!」


突然、少女を抱きしめた無骨な男の姿。


そう、

彼の視界に、サッカーボールなど映ってはいなかったのだ。
























「知っているか、世間では相手が嫌がっているにも関わらず身体に触れる行為をセクハラと呼ぶんだ、野良犬。」

「これのどこが…てめぇの目は腐ってんのか。」

「ともかく離せ、と言っているだろう。」


小日向を抱き寄せていた火積の手首を捕らえる冥加。


「てめぇに指図される覚えはねぇ。」


どこか意固地になり始めた火積がその手を強く払う。


「貴様…」

「なんだ」


「冥加さん…火積くん…あの、話を」


「…小日向!貴様も何故大人しく抱かれている!」


「えぇ!? (次は私?!)」


「貴様は警戒心というものが足りん!」


「どうして私が怒られるんですか…」


「小日向、こちらへ来い。」


険しい表情で小日向の腕を引っ張る冥加。


「おい、ざけんじゃねぇ…触るな。」


眉間の皺が一段と濃くなった火積が守るように再び小日向を強く抱きしめる。


「……貴様、身の程を知れ。」

「てめぇこそ、なめた真似してんじゃねぇ。」


「(火積くん、苦しい…!引っ張られてる腕も痛い…!)」


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