遙か創作

□幼馴染み(将→望)
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“俊くん”は望美の返事を聞くと、さっさと戻って行った。


「…お人好しバカ。」

「将臣くん何か言った?!」
















放課後。


「セーンパイっ!」

「え…俊くん?」


6限目終了のチャイムとほぼ同時にアイツが現れた。


「一緒に行きましょ!」

「どこに?」

「部活ですよ、部活!センパイって、ほんと天然ですね!ははっ」

「えっ‥あ、うん…ごめん。じゃあ、行こうか。」

「はい!」


(…あ〜……)


「じゃあ…将臣くん‥」

「ん?」

「バイバイ。また明」


「センパイ!早く!」


「え、うん!ごめん!」


(………アイツ)


「望美!また明日な!」


「「!!」」


(ったく、消えろ“俊”)


「うん!!バイバイ、将臣くん!」


望美は笑顔でそう言って、“俊くん”に手を引っ張られながら去って行った。


(………さて、帰るか。)


俺は教室を出て、昇降口へと向かった。



















「…イは……思ってるんですか‥」


あまり人がいない2階非常口の傍で“俊くん”の声がした。


(部活やってるんじゃないのか?)


「…どうって…」


(…望美の声?)


俺は声のする方を覗いてみる。


「好きとか嫌いとか…センパイ、オレの気持ち、気づいてなかったんですか?」

「え?気づくって‥」

「オレ、センパイのこと…前から好きでした。ずっと…好きです。」

「え……」


(‥言いやがった…)




幼馴染みってのは、厄介だ。


昔から、望美がそれなりにモテることぐらい知っていた。


それが、高校に入ると

先輩からも、後輩からも人気が出て。




「でも、それでどうして将臣くんのことどう思ってるかって聞くの?」


(…は?)


「センパイ、あの人と付き合ってるって噂あるんですよ。」

「えぇっ!?」


(またかよ…。)


中2の頃、

俺は似たようなことをダチから言われたことがあった。















「なー、マサオー」

「マサオ言うな。」

「お前、春日と付き合ってるって本当?」

「はぁ?」

「結構前から噂でさー、お前と春日は二人で一人、とか。」

「なんだそれ。」

「えー?だって、春日ってさぁ、ちょっと天然入ってんじゃん?」


(ちょっとじゃなくて、だいぶな。)



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