遙か創作
□恋情(頼久→あかね)
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『神子』は京を守る者。
『神子』は主。
『神子』は尊きもの。
『主』は『臣下』に気を遣いはしない。
…けれど、
「ですが」
「?」
「‥先程の桜吹雪が、今まで見た中で最も美しいです。」
目の前にいるこの方は、
清らかで、汚れを知らず、京を守ろうとしているのは確かだが、
どこかで想像していたものと異なる。
京を守るというより、京の人々を守ろうとしている。
自身が尊きものだと理解していないのか、しているけれど、『主』という自覚がなく、私を『臣下』と思っていない。
―…仲間…―
私にはわからない。
『神子』は主だ。
私は『神子』を守る臣下。
…お守りしたいと思う。
ただ…貴女だけを。
「頼久さんって、口が上手い。」
「?」
「そうだ!みんなでお花見しませんか?」
「お花見?」
「今日はお休みっ!藤姫の舘に戻って、みんなを呼んでまたここに来ましょ♪」
この気持ちは
貴女が『神子』で
『主』であるから。
「よーし!帰りましょ!」
自分の胸に疼くものがあるなんて
「頼久さーん?」
そんなもの
認めはしない。
「‥はい、神子殿。」
END
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