コルダ3創作

□君が為(天宮+小日向)
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「落ち着いた?」

「はい…本当に、お見苦しいところを…」

「僕が泣かせたようなものだから。」

「いえ…」


笑顔が戻った彼女の頭を、僕は『これが最後』とまた撫でた。


「天宮さんには、なんだか甘えてしまって…すみません。」

「そうかな?」

「はい。愚痴を聞いてもらったり、演奏を聴いてもらったり…」

「どちらも僕が好きでしてるだけだから。」

「…でも、私は救われてます。」


そう言って、ふわりと見せた笑顔が、いつもより綺麗だと思った。


「そうだ。」

「なに?」

「あの、もし私に出来ることがあれば何でもしますから、言って下さいね!」

「え?」

「いつもお世話になってますから!」


なんだか自信ありげに胸を張る彼女の姿に、吹き出してしまいそうだった。


「気にしなくてもいいよ。」

「ダメです。思いついたら必ず言って下さいね?何でもいいですから。私の演奏にアドバイスをくださるお礼です!」


そんな律儀な彼女を見ていて思いついたのは、


「…じゃあ、代わりに君は…僕に恋というものを教えてよ。」

「へっ?…………」

「‥そんな風に困らなくても。」


まるで凍ってしまったかのように固まる彼女に思わず笑ってしまう。


「あ、天宮さん、からかってますねっ?」

「僕は本気だよ。」

「っ、わ‥私には無理ですっ!」

「やってみないとわからない。」

「だっ、だって私じゃ役不足ですって!」

「僕は君がいいのに?」

「っ…!天宮さんっ!」

「君、真っ赤だ。」

「笑ってるじゃないですかぁー!」



頬を膨らませて怒る彼女に、愛しさを感じたのは


気のせいか、そうじゃないか…



僕にはわからないけれど



“泣いてるよりは全然いい”



そう思ったのは事実。





だから…


せめて君が、

泣かないように


僕は君に

音楽を教えよう。












 END

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