コルダ3創作
□羨望(榊→小日向)
1ページ/3ページ
「…おや」
あれに見えるは恐らく、あの新入部員さん。
(まぁ、間違えるわけがないんだけどね。)
「ひなちゃん」
彼女がびくりと肩を揺らし、振り返る。
「あ…大地先輩」
「ん?そんなに驚いてどうかした?」
「いえ、響也くんを探していたので‥」
「あぁ、律にバレたらヤバイからね。」
クスクスと笑って見せると、彼女は困ったように笑い返す。
「あとちょっとで部活始まっちゃうから急いでるんですけど、手当たり次第探してるのに見つからなくて…」
「…あ。」
「え?」
「そういえばさっき、校門抜けてく姿を見た気が」
「えぇっ?帰っちゃったんですか!?」
「うーん‥そうなのかな?」
「そんなぁ…律先輩になんて言えば…」
「まぁ、確実に響也だったって言えるわけじゃないし、どうせ二人は兄弟なんだから家で会うんじゃない?それに帰ったわけでもないかもだし。きっと大丈夫だよ。」
「でも…」
(えーっと…)
他の男を気にかけてるのが“面白くない”と感じるのは
(独占欲っていうのかな?)
「ていうか!」
「へ?」
「大地先輩、副部長なのに!見かけたなら止めて下さいよ〜」
“ヒドイ”と言わんばかりに涙目になる彼女。
「んー…そんなに俺を責めないで、ひなちゃん?」
「責めてません!ただ…それがバレたら律先輩の怒りが余計に…」
「じゃあ、バレないように黙っとこ♪」
「黙ってたのがバレたら余計コワイじゃないですかぁ!」
「大丈夫♪知ってるのは俺たち二人だけだし、仮に何か言われても俺が守ってあげるよ。」
「大会本番まで時間がないのに…」
(‥流された。)
可愛らしい新入部員さんは、どうやら一筋縄ではいかないタイプらしい。
俺がどんなに甘い甘い言葉をかけようと、それに惑わされたことがない。
「今走って追いかければまだ間に合うかな…」
(…ん?)
小さな小さな声で何か聞こえた。
「私、響也くん追いかけてきます!」
「ちょーっと待った!」
とっさに、走り出そうとする彼女の腕を掴む。
「君まで部活に出てこなかったら、律がブチ切れるよ?」
「ちゃんと出ます!響也くんを連れて」
「遅刻してくるの?このピリピリしてる時期に?」
「うっ…」
_