コルダ3創作

□変=恋(土岐+小日向)
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「はい、到着。」


歩くこと20分。

より最短の距離を選んでくれたのか、予想以上に早く着いた。


「バスは‥あと10分したら来るみたいやね。」

「あの」

「ん?」

「本当にありがとうございました…助かりました。」

「どういたしまして。キョロキョロした変な子に勇気出して声かけた甲斐あったわ。でもなんで一人なん?市民ホールゆうたら、演奏会かなんかでオケ部の団体行動ちゃうんか?」


(キョロキョロ…私そんなにわかりやすいのかな…)


「その、演奏会は明日なんです。でも私、一度場所見ておかないと不安なので‥」

「やっぱ、方向音痴なんちゃうの?」

「違いますってば!」

「…そうか。それで一人で下見に来てたんか。」

「はい。」

「ご苦労様やね。あぁ、そや。」

「?」

「はい、これ。」


思い出したように、私の手の平に乗せたのは、冷えた缶。


「何が好きかはわからんかったし、無難にお茶にしといたんやけど、いらんかったら捨ててええよ。」

「え…」

「散々歩いて疲れたやろ?水分補給ぐらいちゃんとしとかな。」

「いつの間に買ったんですか?」

「ん?ほんまはゆっくり話したいし喫茶店でも寄ろかと思てたんやけど、理由はなんであれ単独行動してんのやったらあんまり時間ないやろし、喫茶店もそない近くにないから。自販機ので悪いけど、な。」

「いえ、あの…答えになってな」

「聞くのは野暮やで、かなでちゃん?」

「は…はい…」


独特のエンジン音がして、バスが近付く。


「あぁ、来た。」

「あの、いろいろありがとうございました!」

「気にせんといて。俺がしたいようにしただけやから。明日、演奏頑張ってな。」

「はい!」


土岐さんから貰った冷たいお茶を手に、バスへと乗り込む。


「じゃあ…また!」

「ほな、元気で。」


土岐さんが見えなくなるまで、私は窓から手を振り続けた。
















「…変な子やね、ほんまに。」


笑顔で手を振り続けていたあの子を見送って、笑みを溢す。


「どう扱ったらええんか、まだわからんわ…。」


女性の扱いに困ったことなどなかったはずが。


「喜ぶより驚きか疑問が勝ってまうんやもんね、あの子は。」


単純なようでそうでない女の子。


「かと言って子供扱いはなんかちゃうやろしなぁ…」


わからないから気になるのか、それとも…








 END

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