遙か創作
□可愛い人(遥か4)
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「お〜いっ!姫さん!」
「?サザキ、どうかしたの?」
「こっち来ねぇかー?」
「こっちって…私には翼がないのに(苦笑)」
「つまりはサザキ様が連れてってやるって言ってんだ!どうだ?来るか?」
「うんっ!お願いっ!」
─可愛い人
ver.サザキ─
「う〜んっ!やっぱり気持ちいい!」
姫さんが背伸びをしながら、そう言う。
「今日は空が清んでるから尚のことだろうな。」
「サザキはいいなぁ…」
ふいに姫さんが呟く。
「ん?何がだ?」
「いつでも好きな時に翔べるでしょう?だから、いいなぁって。」
「姫さんが望むなら、いくらだって連れてきてやるぜ?」
「ありがとう♪……」
(ん?)
姫さんがじっと天を仰ぐ。
「…もうすぐ夕焼け空になるね。」
「どうしたってんだ?」
「不思議だなぁって思って。あっちじゃ夕焼けがなんだか怖かったの。でも、こっちでは…なんていうか…」
「??」
姫さんが、徐々に茜色になってゆく空を指して言う。
「…サザキの色だね。」
「へ?」
「あったかくて、優しい赤。」
「………」
(…反則だ)
ふわりと笑った姫さんに
目だけでなく
心臓を奪われた気がした。
(あ〜ぁ…まったく)
(どうしたら姫さんに勝てるんだ…)
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