遙か創作

□大事な大事な(知盛+猫&望美+八葉たち)
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「九郎ちゃん…ですか…ふふっ。」

「笑うな、弁慶っ!」

初めて目にした人間たちの顔は

楽しそうな笑顔で溢れてた。

「みゃぁ」

「ん?」

「腹が…減っているようだ…。」

「敦盛さん、わかるんですかっ?すごい!」

「いや…私は…」

「何か食べさせられるようなものはあるかしら…」

「朔、これは?」

「望美…」

「神子姫サマ…さすがにトウキビは…」

「あはは、やっぱり?(苦笑)」

「…みゃ」

「ん?…どうしたの?擦り寄ってきて…」

初めて人間に頬を擦り寄せた感覚は、不思議と落ち着くものだった。

「神子、その仔猫の親が来たようだ。」

「え?あっ!ほんとだ!お母さんが迎えに来てくれたよ〜♪」

「みゃあみゃぁ」

「元気でねー!ご飯食べてねー!」

ぼくに手を振る人間を見て、『人間ってこんなにあったかいのか』って思った。



















『…いつまで空仰いでるんだ…』

獣は動かない。

『……』

不思議と嫌な感じはしなくて、隣に腰を下ろしてみた。

『…青い空…』

あぁ、ぼくは間違ってたのかな。

『…………』

「この世は滑稽だ。」

『っ!』

「……お前には解せぬだろうがな。」

『ばかにするな。……滑稽でも、ぼくには綺麗な世界だった。』

あったかい人間が
あんなに冷たくなるなんて
思いもしなかった。

『戦なんて大嫌いだ。』

「………戦は逢世の場だ。ククッ」

『…獣にとっては…ね。』

「底の知れない女も現れるから、な。」

『………』


人間様、
あなた達は
いつまで戦を続けますか。


「さて…俺は行く。では、な。」

『二度と顔見せるな。』


人間様
獣様

どうかもう
大事なものを奪わないで。

ぼくに生きることの意味をください。

どうか どうか
少しでいいから

希望をください。







END
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