コルダ創作

□短編集。
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【落ちる(土日)】




“恋は盲目”

誰が言ったか知らないが、そんな言葉、俺にとってはどーでもよかった。


けど…。


「この間ね?柚木先輩に“恋は盲目”って、どういう意味か知ってるかって聞かれたの。」


今、俺はその言葉に悩まされている。


「…何の話でそうなったんだよ。」

「え?あー、あのねー…私の『夢のあとに』から。」

「は?」

「『夢のあとに』を演奏した後、その作曲者の話になって。で、“恋は盲目”ってよく言うけれど…みたいな。」

「…意味わかんねぇ。柚木先輩なら、んなこと、さらっと答えるだろ。」

「…自分で考えますって言ったから。」

「で、結局俺のトコに聞きに来てるだろ。」

「……辞書とか…」

「なくても知ってろよ。」

「う。」

「…つか、さっきからめちゃくちゃ気になってるんだが…」

「ん?」

「その格好はどうしたんだ?」

目の前にいる日野は大きくスリットが入ったチャイナドレスを着てる。

「や…やっぱり気になるよね…」

「気にならない方がおかしいだろ。」

「その……もうすぐ文化祭でしょ?私のクラス、飲茶喫茶だから…チャイナドレス。」

「…よく出歩けるな。」

「ぅ。恥ずかしいけど、慣れると何も感じなくなって…。でもやっぱ、我に返ると恥ずかしい…」

「……用が済んだなら、さっさと教室戻れよ。」

「あ。もしかして土浦くんも恥ずかしい?!ゴメン!!」

「違う。…“恋は盲目”だからな。」

「へ?」

「ほら。行けよ。」




“恋は盲目”

恋愛は理性を失わせ、分別をなくさせるということ。



(あのまま傍にいられたら、学校ってこと構わずに突っ走りそうになる)



こんな風に

恋に落ちるとは思わなかった。



ドロドロの独占欲。


愛しいと思う心。


「…仕方ないな。落ちるとこまで落ちてやるよ。」


アイツを手に入れるためなら。







 END

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