コルダ創作

□短編集。
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【どうしよう(金日)】




「日野ー。」

「あ、金澤先生」

「ちょい来てみ?」

「え?」


森の広場で演奏しようとしていたら、金澤先生が手招きしながら、そう声をかけて来た。


「なんですか?」

「お前さん、頑張ってるなぁー。この調子でいったら、次のセレクション一位になるんじゃないか?」

そう言って、なんだか楽しそうに笑う先生。


(あ。こういう顔、結構好き…。)


「先生、いっつも『面倒くさい』って言って、コンクール嫌がってるのに…急にどうしたんですか?」


(先生、いつもやる気ない顔してるから、笑顔見れると嬉しいんだよね。)


「いや、お前さんの頑張りが俺の心を動かしたんだよ。いやぁ〜、やるなぁ、お前さん。」

「??」

「…これからも頑張れよ。」


そう口にして、先生は私の頭にポンと軽く手を触れ、去って行った。


「……っ…」


(どうしよう)


“気のせい”で終わらせるつもりだったのに。


(どうしよう)


気づいてしまった。


「〜〜反則…」



先生が、好きだって。


















「何やってんだ俺は」

ガラにもないことして。

(さぁて…どうしたもんか…)


端から見たら、教師が生徒を褒めただけ。



その内側には…




ただアイツに触れたかった、『男』の俺がいた。







(教師失格…かね)







 END

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