遙か創作
□ありえない。(知望)
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「な…なんだじゃなくて…どうしたの?ホントに…」
「…俺が眠りにつこうとした時、お前は言った。“かっこいい”とな。」
(木村●哉にですね。)
「何のことかと思い目を開ければ、お前は画面に夢中で。俺が眠りについていないことさえ気づいていなかったのだろう?」
(…まぁ…ね。)
「…いくらお前が俺に酔っていると分かっていても、気分の良いものではない。」
「…………は?」
知盛はまた不機嫌な顔になる。
「…何それ。」
「…………」
(…つまり…あながち“ヤキモチ妬いた?”っていう考えはハズレではなかった…っていう?)
「…ありえない。」
「…何がだ。」
「ないないないっ!違う!これは夢!」
「…は?」
「そうよっ!知盛がヤキモチなんて妬くはずないし、優しいキスなんてするキャラなはずがないじゃない!」
私は笑いながらそう言って、知盛が乗っかっているベッドに潜る。
「…オイ。」
「隣ごめんね、知盛。ちょっと…寝る。いや、正しくは寝てるんだと思うけど。…夢の中で寝たら現実にはどうなるんだろ?…ま、いっか。」
「コラ。」
「おやすみ、知盛。私好みの知盛だったけど、さすが私の夢。現実じゃありえないキャラだもんね。」
そして私は眠りにつく。
「…襲え、ということか?これは。」
訳の分からぬことを言って眠った望美。
「……」
分かっている。
望美が必要としているのは俺だけであり、このような気持ちを持つ必要はないのだと。
だが、しかし…
「…俺も酔っている、ということか…。」
より深くお前を求めてしまうのは…
お前だけでなく、
俺がお前に酔っているからなのだろう。
「…夢だと思うならば、そう思っていればいい…。目が覚めた時には……」
この腕に閉じ込め、離しはしない。
たとえ、お前がどんなに嫌と言おうと。