遙か創作

□05.客と店員(譲望)(お題)
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「じゃあ…3時間後にお店の前で…いいですか?」

「はい!」

彼女は嫌な顔ひとつせず、約束してくれた。





俺は3時間を他の店で潰し、再び彼女が働く喫茶店へ向かった。






「すみません、お待たせしちゃって…」

「いえ!俺こそ急にすみません!」

「いえ。…で…お話って、何ですか?」

「あの…俺、あなたが好きなんです!」

「…え…」

「一目惚れで…その…いきなり言われても困ると思うんですけど…」

体温が上がっていくのが分かる。

ドキドキして死にそうだ。

「…私の名前、知ってますか?」

「え?!」

「私の名前、分かります?」

「………」

言われてみれば、俺は彼女の名前さえ知らない。

「私も、あなたの名前…知りません。」

(あー…ダメだ…)

「あなたがどんな人なのかも、何歳なのかも分かりません。」

“フラれる”と覚悟を決めた俺は、次の言葉を聞いて、驚いた。


「お友達からでも…いいですか?」


「……えっ?!」

「ダメ…ですか?」

「いえっ!!嬉しいです!」

「ふふっ…じゃあ…私は春日望美です。」

「あっ…有川譲です。」


一目惚れだった。


「何歳ですか?」


好きで好きで、
止められなくなった。


「えっ?!私より年下?!」


告白した。


「大人っぽーい…。」


友達になった。


「…ホント、可愛いですね。」

「…えっ?!」


恋人になれるのは、
いつだろう?
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