遙か創作

□04.優等生と劣等生(銀望)(お題)
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帰り道、私と銀くんは近くの公園に寄った。


「今日はかばってくれてありがとう。」

「え?」

「私が『バカだ』って、からかわれてた時…」

「あぁ…だって、本当に春日さんは馬鹿じゃないですから。」

優しく微笑む銀くん。

「でも…私、なんにも取り柄ないし…勉強も全然…」

「……私は貴女が好きですよ。」

「…え?」

「人間には向き不向きがあります。きっと、貴女の取り柄は頭じゃなく、心なんです。」

「…?」

「‥というと、なんだか失礼です、よね。」

そう言って銀くんは苦笑したけれど、

「ううん…私、嬉しい。」

私はそう返して笑って見せた。

「こういうとこも、バカだからかもしれないけど、銀くんが褒めてくれたんだもん。とっても嬉しい!」

「‥‥‥」

銀くんは、なんだか弾かれたように目に見開いて、少し驚いたような顔をして。


「…好きですよ、春日さん。」


次の瞬間には、

ふわりと微笑みながら、そう口にした。


「……え?」

「帰りましょう。もう日も落ちてきましたし。」

「銀く‥」


名前を呼ぼうとしたのと、ほぼ同時に


「帰りましょう。今はまだ、いいんです。」


銀くんは、にこりと微笑んで左手を差し出した。


「…」


だから、


今は


手を繋いで帰ろう。








馬鹿な私を悩ませないための、

彼の優しさに触れながら。




















(本当は、抱きしめて帰したくはないんですが…ここで嫌われてしまったら、せっかく近付けたのにマイナスになってしまうでしょうし。)




誰になんて言われても、

ずっとずっと、

貴女だけを想ってる。






 END
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