遙か創作
□欠けたモノ(崇→ゆ)
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(なにが、救世主だ)
「八葉は、自分たちのことで手一杯じゃないか。お姉ちゃんが何してようと、結果だけを見て喜んでる。都姉も都姉だ。ナントカの一つ覚えみたいに、二言目には天使天使って。本当に天に召されたら笑ってられるのかな?」
(なにが、天使だ)
「瞬兄も………星の一族だから何?知ったことじゃないよね。星の一族は、先代の遺言通り、神子を守りました。めでたしめでたし…なーんて、めでたいと思えるのは、瞬兄だけじゃん。」
(なにが、龍神の神子だ)
「バカだよねーみんな、自分のことばーっかり。江戸を救うためーとか、日本のためーとか、平和を取り戻すためーとか。龍神の神子は、命削ってるっていうのにさ。」
(お姉ちゃんは…)
「…………バカだよ。」
誰が気づいているんだろう?
神子の命は、時空を超える度に削られていると。
誰が案じているだろう?
神子が陽炎や怨霊を封じる度、命の灯が消えてゆくこと。
「全部、知っているのは、神とお姉ちゃんとボクと…あの術を施した奴…」
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