コルダ3創作
□退けない(冥vs火)
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周りの目など
気にしてる暇はない。
ただ、
君のために。
― wrangle
「ねぇ…利央くん」
「どうした七瀬?」
「あれ…」
「ん?」
休日の山下公園。
公園独特の、穏やかな空気とは掛け離れた空気がそこにはあった。
「なんで公園であんな…」
「利央くん、私コワイ…」
「(同感です。) 七瀬、遊園地行こう!見なかったことにするんだ!」
「う、うん!」
周囲の目など気にすることのないラブラブカップルが、恐れおののき退散するほどのもの…それは
「…なんだ、てめぇ」
「貴様こそ、公衆の面前で何をしていた。」
「あ?」
「とぼけるな。現に今、小日向を抱き寄せているだろう。」
「抱き寄せ…」
「あ、あの〜…冥加さん…?」
「とにかくさっさとその手を離せ野良犬が。」
「てめぇ…偉そうに口出ししてんじゃねぇ。」
「聞こえなかったのか、離せと言っているんだ。」
白ランを翻し、あらゆる意味でその名を轟かせている天音学園の冥加玲士と
額の傷とその目付き故、こちらもあらゆる意味で(本人も知らぬ所で)騒がれている至誠館の火積司郎が
睨み合っているのだ。
「小日向」
「火積くん、こんにちは♪」
「…あぁ。」
昼下がり。
山下公園へ足を運んだ火積司郎は、愛らしい少女に出会う。
星奏学院の小日向かなでだ。
「今日も暑いねー。」
「あぁ…水分補給を欠かすな。」
「はい、わかりました!」
普段は“その道”の人間に匹敵するほどの強面でありながら、最近彼女と話す時の彼の表情は年相応の少年である。
「そういえばこの前、新くんが変わったジュースをくれて」
「あいつはそういうもんに惜し気もなく金を遣う…」
「勇気あるよね!」
「んな勇気はいらねぇ…別のもんに注ぐべきだろう。」
「でもすごかったんだ、なんだっけ…いろんなものが合体したようなジュースで…」
「あんた、飲んだのか?」
「うーん…さすがにちょっと厳しかったです…」
そんな他愛もない立ち話をしていると、
彼女の頭を目掛けて、サッカーボールが飛んできた。
「っ!」
それに気づいた彼は瞬時に彼女を抱き寄せ、その身を守る。
「わっ…!」
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