コルダ3創作
□静かに躍る(東vs土)
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「千秋く〜ん、一緒にライブ行かな〜い?」
「悪いがそんな時間はないんだ。またな。」
「えぇ〜」
群がる女達を撒いて、駅へと急ぐ。
(今日は、アイツに会えるんだ。)
― heart leaping for…
「で…」
駅に着くなり見えたのは
「どうしてお前がいるんだ、蓬生。」
毎日のように顔を合わせている、土岐蓬生の姿だった。
「俺と千秋の仲やのに隠し事なんてようないわ…俺、悲しくて倒れてまいそう。」
「悲しくて倒れる奴なんてあるか。茶化さずになぜここにいるか説明しろ。」
「早い話が、抜け駆けはあかんよっていうことやね。」
「抜け駆けなんてしてないだろ。」
「今から、するとこやろ?せやからそれを防ぎに来たんよ。」
「……かなでに聞いたのか。」
蓬生はニッコリと笑みを浮かべ、悪気などまるでないと言わんばかりだ。
「俺が聞いたわけちゃうよ?ただ、小日向ちゃんが“神戸の気温はどうですか”とか不思議なことメールしてきたもんやから、どないしたんやろ思て。」
(…口止めしときゃ良かったか…)
後悔先に立たず。
事の始まりは2週間前に遡る。
(ん?メールか。)
下校途中、携帯が鳴る。
メールの相手は…
「…かなで」
この夏、横浜で出会った一人の女。
(またどうせくだらないことだろ。)
自然と弛む口元に気づかないフリをして、その内容を確認する。
「…………」
その内容の、
なんと嬉しいことか。
「“会いにいく”…だと?」
(かなでが、兵庫に来る)
直ぐ様、返信。
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To:小日向かなで
sub:そうか
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俺がお前をエスコートしてやるから、楽しみにしてろ。
…待ってるぞ。
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(すっかり秋やねぇ…やっと過ごしやすなってきたわ。)
中庭で休息中、一通のメール。
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