遙か創作

□渦巻く(譲→望)
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ずっと…

あなただけを見つめてきた。

この感情が恋だと気づくのに

そう時間はかからなかった。







―… greedy love










「ゆずるくん」


幼い頃からずっと、

俺の手で守りたいと思っていた。


「なに?のぞみちゃん」

「あのね、まさおみくん、いるかな?」


幼い頃からずっと、俺だけを見て欲しいと思っていた。


先輩の口から兄の名前が出る度、
他の男の名前が出る度、

俺の中で

何かが弾けそうになった。


その感情は…


『嫉妬』だ。


「……どうかしたの?」

「んー‥がっこうでね、しゅくだいがでたの。でもね、むつかしくって。」


どうして俺は年下なんだろう?



どうして神様は、
ぼくをのぞみちゃんと同じ年にしてくれなかったんだろう?

そうしたら、おにいちゃんにだって…。


「ぼく、べんきょうがんばる。」

「??どうしたの?」

「ううん。…おにいちゃんには、まけたくないから。」

「…?うん、がんばってね!」

「うん!」


あなたがそう言ってくれるなら、

俺は勉強だって、何だって、死ぬ気でやってみせる。















「お前って、むっつりっぽいよな。」

「は?!」


中2の春。

兄にそう言われた。


「‥‥なんだよ、突然。」

「いや、“ぽい”っつーより、絶対にむっつりだな。」

「だから…何だよ。」

「お前、意味わかってねぇの?」

「何。」

「…むっつりスケベ。」

「何だソレ!?」

「自分でも知らない内に欲溜め込んで、糸が切れた時それが一気に出るタイプだな。」

「はぁ?兄さん、そんなことばっかり言ってるから成績落ちたんだろ。」

「お前なぁ…」


正直、焦った。

言われてみれば、そうかもしれないと思ってしまったからだ。


俺の中には、醜い感情ばかりが生まれる。


“あの人を独占したい”

“あの人を俺のモノにしたい”


その感情を押し込めたいと思うし、押し込められているとは思う。


でも、

もう…

いつ溢れ出すかわからない。












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