遙か創作
□幼馴染み(将→望)
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幼馴染みっつーのは、結構 厄介だと思う。
「有川ー」
「ま‥将臣くん…」
「有川っ!!」
バコッと頭を殴られ、目が覚める。
「あ゛ー…」
「お・ま・え・はーっ!毎度毎度、居眠りか!私の授業はつまらないか?!」
俺を丸めた教科書で殴った、女のくせに口の悪い担任は寝起き丸出しの俺に向かってガミガミ言ってる。
「いや…先生は悪くねぇけど」
「当たり前だっ!」
その瞬間、教室が笑いに包まれた。
「将臣くん…」
ただ一人、望美だけは呆れた目だった。
「もー…何回も声かけたんだよ?」
「悪ぃ。爆睡してたんだよ。」
「まったく…。」
「なんでそんなに怒ってんだよ?」
「だって、将臣くん英語ダメじゃない。」
「‥英語だけ、な。」
「ほら。なのに寝るでしょ?」
「寝るからダメなんだって。」
「わかってるなら、ちゃんとしなよ…。」
「…お前の方がヤバイだろ。」
「うっ!!」
本当に…
幼馴染みっつーのは厄介だ。
「英語だけじゃなく、数学も地歴公民も生物もダメだろ。」
「あうっ」
お互いの成績も、大体わかってる。
「いっつもテスト前に勉強教えろって来んのは、どこの誰だー?」
「ぐ…でも、古典はクラスで4番目だもん。」
「古典だけだろ。しかも4番って…微妙すぎ。」
俺は笑いながら望美の頭をくしゃりと撫でる。
「むー……あと、体育は成績いいもん。」
「体育出してくるか。体育なら俺も出来るって。」
「ズルイ‥。」
「ははっ」
「春日センパイっ!」
「「?」」
俺と望美が話していると、教室の入り口から誰かが望美を呼ぶ。
「あ!俊くん。」
(…げ。)
“俊くん”という、その男は望美が所属している陸上部の後輩で…
「どうしたの?」
「春日センパイ、今日部活来ますよね?」
「うん、行くけど?」
「オレと競争しましょうよ!」
「えー?俊くん、うちのエースじゃん!私、絶対負けるよ!」
「えぇ〜?センパイこそ女子の中で一番速いじゃん。」
(…そんなこと、わざわざ教室まで来て言うことかよ。)
“俊くん”は、望美が好きらしい。
(ま、望美は超が付くほど鈍感だからなぁ。)
「あーもう…仕方ないなぁ…」
「やった!じゃあ、部活で!」
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