コルダ3創作

□嘘つきと甘い人(悠人→小日向)
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「小日向先輩」


放課後。

校門で見つけたあの人の姿。


「あ、悠人くん」

「一緒に帰りませんか。」


柄にもなく高鳴る鼓動を抑えながら、誘ってみる。


「うん。あ、でもちょっと寄りたい所があるから途中まででもいいかな?」

「え?」


(途中、まで…か)


「コンビニで買いたい物があって。」

「それなら僕もついていきます。」

「え、でも帰り道と逆方向に…」

「僕も買いたいものがあるので。」

「そうなの?」

「はい。だからちょうどいいです。」


(本当は買いたいものなんてないけれど)

















歩くこと15分。

コンビニに到着。


「じゃあ、僕はあっちを見てきますんで。」


そう言って、特に当たり障りのない、雑誌売り場に足を運ぶ。


(何かしら見てるうちに先輩の買い物も終わるだろうし。)


先輩にちらと目線をやれば、幸せそうな顔でアイスを選んでるのが映った。


(買い物って…アイス?)


なんとも子供のような人だと、内心笑いながら音楽雑誌に手を伸ばした。




「お待たせ、悠人くん!」


買い物が終わったことを報せる為か、先輩がトントンと僕の肩を叩いた。


「あ、じゃあ行きましょうか。」


手にしていた雑誌を置いて、出入口へと向かう。


「あれ?悠人くんは買いたい物、見つからなかった?」

「えぇ、ここには置いてなかったみたいです。」

「そっか…ごめんね?結局何もないのに付き合わせちゃって…」


僕が嘘をついているとも知らず、申し訳なさそうに謝る先輩。


「いいえ、小日向先輩は何も悪くありませんから。小日向先輩は、買いたい物買えましたか?」


店の外に出てそれとなく話を変えると、先輩は笑顔になって買ったものを披露してくれる。


「うん!コンビニ限定販売のアイスがあってね?どうしても食べてみたかったんだぁ♪」

「…そうですか。」


ニコニコと音が聴こえそうなほど笑みを浮かべるその人を“可愛い”なんて思ったりしてない。


(…嘘。本当は、すごく可愛い。)


「悠人くん」

「はい?」

「あーん。」

「………へ?」


振り向いた瞬間、買ったばかりのそのカップアイスを一掬い目の前に出された。


「ほら、早く早く!溶けちゃうよ!」

「えっ、あの」

「悠人くん!」

「…っ」



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