コルダ3創作
□甘くて鮮やかな(八木沢→小日向)
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「小日向さん……えーっと」
「?」
「緊張のあまり、何を言おうとしていたのか忘れてしまいました。」
「緊張??…じゃあ、待ってますね?」
「…はい。ありがとうございます。」
小日向さんは、優しい人です。
「‥思い出しました。」
「はい、なんでしょう?」
「日曜日、どこかへ案内して下さいませんか?」
「もちろん、喜んで♪」
小日向さんは、
可愛らしい人です。
「少し、どこかで休みましょうか?」
にこりと微笑む小日向さんに、僕も微笑み返す。
「では、あそこの喫茶店に入りましょうか。僕がパフェでもおごります。」
「えっ!いえ、そんな!」
「おごらせて下さい。今日のお礼として。」
そう言って笑みを向けると、小日向さんは申し訳なさげにしつつも嬉しそうに頷いてくれた。
「今日は一段と暑いですね…。」
「確か、真夏日、と天気予報で言ってました。…すみません、こんな日に横浜案内なんてお願いしてしまって…」
「いえ!私、嬉しいんです。」
「え?」
「八木沢さんの息抜きにお付き合いできて、幸せです。」
「…やっぱり、とても優しい人です。」
「へ?」
「お待たせ致しましたー」
“飲み物で十分”と言う小日向さんに反し、ウェイトレスさんにチョコレートパフェとストロベリーパフェを1つずつ注文して待つこと五分。
「ストロベリーパフェにチョコレートパフェ…以上でお揃いでしょうか?」
慣れた様子でテーブルにパフェが置かれ、確認を受ける。
「はい、ありがとうございます。」
「では、ごゆっくりどうぞー。」
「さぁ、小日向さん。どちらがお好きですか?」
「えっ、いえ、八木沢さんが選んで下さい!」
「いいえ。小日向さんに選んでほしいんです。」
「えっと…でも……」
「早く選ばないとアイスが溶けてしまいますよ?」
「!‥じゃあ…ストロベリーで。」
慌てて選ぶ彼女がおかしくて、また笑顔が溢れる。
「はい、どうぞ。」
ストロベリーパフェを彼女の目の前に差し出せば、彼女も笑顔に。
半ば無理矢理注文したパフェだけど、
「おいしいですっ!やっぱり夏はアイスですね♪」
と小日向さんは満面の笑み。
(頼んで良かった。)
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