コルダ3創作

□無自覚(律→小日向)
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久々に会った少女は、
あどけなさを残しながらも、どこか美しく輝いていた。











「小日向」

「律先輩」

「響也は見つかったか。」

「あ…それが…」


「律、響也なら職員室に入って行くのを見たよ。」


榊がいつもの笑顔でそう知らせてくる。


「そうなのか。アイツは…」

「す、すみません…。」

「?小日向は悪くないだろう。」

「ぁ、はい…。」

「むしろ、探しに行ってくれたのに悪かったな。」


そう返し、小日向の頭を撫でる。


「いえ!大丈夫です!」

「…では、練習を始めよう。」

「はい!」


















「部長って、小日向さんになんだか優しいわね。」

「は?」


オケ部メンバーで同学年の斎藤が、帰宅準備中に意味不明なことを言ってきたので、思わず手が止まる。


「…よく理解できないんだが。」

「そんな眉間に皺寄せなくても。」


相手はクスクスと笑っているが、こちらは何一つ面白い事を言ったつもりはない。


「最近、密かに注目の的よ?あの子に対しては部長の態度や表情が柔らかいから、“部長は小日向さんにお熱なんじゃないか”とか。」

「……小日向は一応、昔馴染みだからな。」

「あら、周りからしたらそういう風には見えてないわよ?それに、部長さんが“ただの昔馴染み”に、あんなに優しくなるとは思えないもの。」


何かを楽しむように笑みを浮かべ、まるで挑発するように言葉を続ける斎藤。


「仲のいい榊君にでさえ厳しい人なんだから。」

「‥小日向を贔屓しているとでも?俺は皆に平等に接しているつもりだが。」

「違うわよ!」


弾かれたように目を丸くして、盛大に吹き出した彼女は、声を落ち着かせて静かに言う。


「愛が溢れてて、羨ましい限りってこと。」

「………」

「安心して。オケ部のみんなは見守ってるだけだから。私も応援してるわよ☆」


満面の笑みでそう言い残し、いつの間にか帰宅準備を終えていた斎藤は、『お疲れ様』と部員に声をかけ帰って行った。


(………益々意味がわからん。)



俺に、

大きな謎を残して。








 END

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