コルダ3創作

□羨望(榊→小日向)
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「…おや」


あれに見えるは恐らく、あの新入部員さん。


(まぁ、間違えるわけがないんだけどね。)


「ひなちゃん」


彼女がびくりと肩を揺らし、振り返る。


「あ…大地先輩」

「ん?そんなに驚いてどうかした?」

「いえ、響也くんを探していたので‥」

「あぁ、律にバレたらヤバイからね。」


クスクスと笑って見せると、彼女は困ったように笑い返す。


「あとちょっとで部活始まっちゃうから急いでるんですけど、手当たり次第探してるのに見つからなくて…」

「…あ。」

「え?」

「そういえばさっき、校門抜けてく姿を見た気が」

「えぇっ?帰っちゃったんですか!?」

「うーん‥そうなのかな?」

「そんなぁ…律先輩になんて言えば…」

「まぁ、確実に響也だったって言えるわけじゃないし、どうせ二人は兄弟なんだから家で会うんじゃない?それに帰ったわけでもないかもだし。きっと大丈夫だよ。」

「でも…」


(えーっと…)


他の男を気にかけてるのが“面白くない”と感じるのは


(独占欲っていうのかな?)


「ていうか!」

「へ?」

「大地先輩、副部長なのに!見かけたなら止めて下さいよ〜」


“ヒドイ”と言わんばかりに涙目になる彼女。


「んー…そんなに俺を責めないで、ひなちゃん?」

「責めてません!ただ…それがバレたら律先輩の怒りが余計に…」

「じゃあ、バレないように黙っとこ♪」

「黙ってたのがバレたら余計コワイじゃないですかぁ!」

「大丈夫♪知ってるのは俺たち二人だけだし、仮に何か言われても俺が守ってあげるよ。」

「大会本番まで時間がないのに…」


(‥流された。)


可愛らしい新入部員さんは、どうやら一筋縄ではいかないタイプらしい。

俺がどんなに甘い甘い言葉をかけようと、それに惑わされたことがない。


「今走って追いかければまだ間に合うかな…」


(…ん?)


小さな小さな声で何か聞こえた。


「私、響也くん追いかけてきます!」

「ちょーっと待った!」


とっさに、走り出そうとする彼女の腕を掴む。


「君まで部活に出てこなかったら、律がブチ切れるよ?」

「ちゃんと出ます!響也くんを連れて」

「遅刻してくるの?このピリピリしてる時期に?」

「うっ…」


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