コルダ3創作

□囚われの身(冥加+小日向)
1ページ/3ページ



あれが
いつのことだったか、


あれが
どうしてああなっただとか、


思い出したくもない。

















「あの、冥加部ちょ」

「なんだ七海」

「オレ、その」

「さっさと言え。部活に関する話なら聞いてやろう。」

「……オレのチェロは…冥加部長から見てどう思いますか!?」

「…話にならん。天音の室内楽部としてやっていくつもりなら、練習を積め。趣味でやってるなら室内楽部から去れ。」

「っ……」















日が暮れ出した頃、部活を終える。

夏だから日が落ちるのが遅いとはいっても、まだまだ練習時間としては足りないのだが、校舎の戸締まりの時間がある為仕方ない。


(…明日の練習は管楽器を重点的に強化すべきか)


考えを巡らせながら、校門を出る。


(しかし、他にも…)


「じゃあな、かなで。気をつけて帰れよ。」

「うん、響也くんもね。」

「俺は男だから大丈夫だっての。」


(……まさか………アイツはっ!)


我が目を疑った。


星奏学院の門から出てくる奴は……


「貴様っ…何故ここに…っ!?」

「えっ…」


(小日向、かなで…!)


「あの、えっと…誰、でしょう?」

「貴様っ!この俺を覚えていないだと!?」

「あ…ご、ごめんなさい。」

「なんだと…っ」

「す、すみませ」


「おい、覚えてる覚えてないの前に物の言い方考えろよ。」


口を挟んできたのは小日向かなでの隣にいた男。


「響也く」

「かなでは黙ってろ。」

「だって、喧嘩しちゃダメだよ。それにあの制服…」

「あ?…あんた、天音学園か。」


(なんだこの男は。)


小日向と口の悪い男、交互に目をやれば、“友達”という空気ではないことが感じられる。


(…虫酸が走る。)


“チッ”と舌打ちが聞こえたかと思えば、男は言う。


「面倒くせぇ。オケ部になんて入ってなきゃ、好きにしてたんだがな。」

「響也くん…この人なんにもしてないじゃない。」

「腹立つんだよ。かなでのこと“貴様”とか言いやがって。」


(…なるほどな、)


小日向かなで…

相変わらず嫌な女だ。





_
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ