コルダ3創作
□囚われの身(冥加+小日向)
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あれが
いつのことだったか、
あれが
どうしてああなっただとか、
思い出したくもない。
「あの、冥加部ちょ」
「なんだ七海」
「オレ、その」
「さっさと言え。部活に関する話なら聞いてやろう。」
「……オレのチェロは…冥加部長から見てどう思いますか!?」
「…話にならん。天音の室内楽部としてやっていくつもりなら、練習を積め。趣味でやってるなら室内楽部から去れ。」
「っ……」
日が暮れ出した頃、部活を終える。
夏だから日が落ちるのが遅いとはいっても、まだまだ練習時間としては足りないのだが、校舎の戸締まりの時間がある為仕方ない。
(…明日の練習は管楽器を重点的に強化すべきか)
考えを巡らせながら、校門を出る。
(しかし、他にも…)
「じゃあな、かなで。気をつけて帰れよ。」
「うん、響也くんもね。」
「俺は男だから大丈夫だっての。」
(……まさか………アイツはっ!)
我が目を疑った。
星奏学院の門から出てくる奴は……
「貴様っ…何故ここに…っ!?」
「えっ…」
(小日向、かなで…!)
「あの、えっと…誰、でしょう?」
「貴様っ!この俺を覚えていないだと!?」
「あ…ご、ごめんなさい。」
「なんだと…っ」
「す、すみませ」
「おい、覚えてる覚えてないの前に物の言い方考えろよ。」
口を挟んできたのは小日向かなでの隣にいた男。
「響也く」
「かなでは黙ってろ。」
「だって、喧嘩しちゃダメだよ。それにあの制服…」
「あ?…あんた、天音学園か。」
(なんだこの男は。)
小日向と口の悪い男、交互に目をやれば、“友達”という空気ではないことが感じられる。
(…虫酸が走る。)
“チッ”と舌打ちが聞こえたかと思えば、男は言う。
「面倒くせぇ。オケ部になんて入ってなきゃ、好きにしてたんだがな。」
「響也くん…この人なんにもしてないじゃない。」
「腹立つんだよ。かなでのこと“貴様”とか言いやがって。」
(…なるほどな、)
小日向かなで…
相変わらず嫌な女だ。
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