コルダ3創作

□変=恋(土岐+小日向)
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「で、また迷ったのかな?私は…」


ホールの下見を終え、道路に出て30分。

一向にバス停どころか、月花堂さんさえ見えず。


「ここ、どこ…?」


小さく呟いた直後聞こえた、誰かの声。


「あんた…迷子か?」

「ぅ、実は…」


振り返ると、見知った顔。


「ほな、しゃあないね。俺が道案内したるよ。」

「あ、れ?」

「…なんや、かなでちゃんやないか。」

「土岐さん!」


神南高校の土岐篷生さん。


「びっくりしたわぁ…まさか知り合いやったなんて。」

「私も驚きました…実は今日、東金さんにも会ったんですよ。」

「そうなんか。なんや、運命感じるな。でも…残念やね。」

「え?何がですか?」

「今日、会ったのが俺だけやったらほんまに運命的やったのに。」


ニコニコと微笑みながらそう言う土岐さん。


「なっ」

「真っ赤になってんで?かなでちゃん。こないなぐらいで赤なるなんて、ほんま初々しいわ。」

「〜っ土岐さん、からかうのはやめて下さい。」

「ごめんな。ほな、行こか?かなでちゃんはどこを探してんのや?」


土岐さんは冗談を言っているかと思うと、すっと私が持っていた地図を取り、本題へ話を戻す。


「あ、ありがとうございます!えっと‥ここのバス停まで…」

「……かなでちゃん」

「はい?」

「どっから歩いてきたん?」

「えっ、市民ホールから…ですけど…」

「…すごいわ。」

「へ?」

「すごいで、かなでちゃん。まったく逆方向に進んでるわ。」

「え…えぇ!?」


地図を覗いてみれば、


「ほら、目の前に見える店が“美鈴玩具店”…地図のここや。」

「うわっ」


土岐さんの言う通り、地図にあるお店は私の目の前にある。

でも、目的地のバス停は正反対の方向に。


「な、なんでこんな…」

「知らんかったわ、方向音痴なんやね。」

「違いますよっ!」

「方向音痴やなかったら、ここまで気づかんことないんちゃう?」

「うぅ…」

「‥ついてき。ちゃんと導いたるから。」


優しく私の手を包み込んだのは、紛れもなく土岐さんだった。
















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