コルダ創作

□3.関わるな(柚日)(お題)
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第1セレクションまで、あと10日…


「お前の音、最悪。」

「今のお前の音は、ただのネタにしかならない。」


あの人は、そう言った。


「お前、素人だろ。」


何も、返せなかった。


「…もう、やだ…」


涙まじりにそう呟くのが精一杯だった。



















「日野…先輩…」


練習室へ向かう途中、志水くんに声をかけられた。


「志水くん」


志水桂一くんは同じコンクール参加者の一年生で、私は最近知り合った。

きっかけは、本を読んでいた志水くんがヴァイオリンを演奏しようとしていた私にぶつかってきたのだ。


「今から…練習ですか?」

「うん。志水くんも?」

「はい…。練習室を予約しているので…練習室で。」

「あ、私も練習室行くんだ。じゃあ…一緒に行こうか。」

「………」

「あっ、いやなら別にいいよ!」

「…いやじゃ…ありません。…行きましょう。」


(う〜ん…相変わらずマイペースというか…。)


「あっれ〜?日ー野ーちゃん!」

「わっ?!天羽さん!?」


練習室の前まで来て突然、背中に重みがかかって、何かと思い振り向くと天羽さんがのしかかっていた。


「何何〜?2人仲良く練習〜?」

「天羽さん…」

「おっとゴメンゴメン!」


そう言って、天羽さんは私の背中から離れる。

天羽さんは報道部で、ときどき何処からともなくひょいと現れてはコンクールについて質問して、去って行く。そんな人だ。


「いやさぁ、珍しい組み合わせだなぁと思ってね。」

「ついさっき、そこで会ったんだ。」

「へー!で、ここまで一緒に来たって訳か。それはそうと日野ちゃん!」

「?何?」

「コンクール参加者の中で誰と一番仲いいんですかぁ〜?」

「はい?!」

「みんなさぁ、興味深々なんだよ。特に女子!ほら、あるじゃん?ヴァイオリン・ロマンスっていうやつ。」

「…………」

「もしかして、志水くん?どうなの、志水くん!」

「ちょ…天羽さん?!」

「……僕…練習があるので…」

「え…志水くん?!」

「それじゃあ…」

「あ〜れま。行っちゃった。」

「天羽さん…変なこと言うのヤメテ…。」

「あー…ゴメンゴメン。でもさ、」

「?」

「日野ちゃん、頑張ってるよね。」

「え?」

「いや…正直言って、最初は“この子大丈夫かなぁ”とか心配しちゃってたんだけどさ。みんな、応援してるよ。日に日に上手くなってるし!」

「……ありがとう。」


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