遙か創作
□名(リズ→望)
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「ヒーノーエーくんっ」
ふと、気づいたのだ。
「どうしたんだい、お姫様。今日はずいぶんとご機嫌だね?」
「うんっ♪今日はねー、」
私は、神子に名を呼んでもらったことがあるだろうか…と。
「将臣くん、譲くん♪何してるの?」
「先輩」
「望美」
「昼食の準備をしているんです。」
「そっかー…え。将臣くんが?!」
「望美…ナメるなよ?俺はこっちの世界に来て3年だぞ?ん?」
「ははっ。そーでしたね(笑)」
「あーつもーりさん!」
「…神子…」
「まーた屋根の上にいるんですかー?」
「…今、そちらへ行く。」
「あっ!いいですよ!私が行きます!」
「…上がって来れるのか‥?」
「……無理です…。」
「景時さん!お手伝いしますよ♪」
「ありがとー、望美ちゃん♪」
「いえいえー☆それにしても今日は洗濯物多いですねー。」
「だねー。洗い甲斐があるよー。」
「ふふっ」
「九郎さん!弁慶さん!」
「うるさいぞ、望美」
「九郎、そのような言い方しなくてもいいでしょう…。どうかしましたか、望美さん。」
「いえ、すみません…。作戦会議中ですか?」
「えぇ。」
「望美、用があるなら…」
「神子ーーー!!」
「白龍??」
「神子っ!来て来て!」
「?」
「雪だよっ!雪!」
「えっ!ほんとー?♪」
「うんっ!」
「先生!」
「……どうした、神子」
「雪が積もったんですよ♪」
「…そうか。」
「?せんせ?」
「どうした。」
「…いえ…。…何かありましたか?」
「………」
言える訳がないのだ。
“名を呼んでくれ”
などと。
「先生…?」
「‥神子は私の名を知っているか。」
「え?はい。」
「……」
「??」
「…そうか。」
「へ?…リズヴァーン…ですよね?」
「…………」
「えっ。違うんですか?!」
己を馬鹿らしく思ったのは初めてだ。
まるで幼子のように名を呼ばれることに執着し、他の者たちに嫉妬をした。
「合っている。」
「ですよね!よかった…。実は本名じゃないのかと思いましたよ(笑)」
「…もう一度…呼んではくれぬか?」
「え‥?…はい。」