遙か創作

□04.優等生と劣等生(銀望)(お題)
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「お前、ホントどーにかなんねーの?」

クラスメイトに言われて、私は口ごもる。

その瞬間、ヒュッと空気が切れる音がして何かが私の耳元を過ぎたかと思うと、ドカッと私の正面にいたクラスメイトの頭に古典の教科書が当たった。


「いって!!」

「だ、大丈夫?!」

「〜〜っ銀!!!」


クラスメイトが頭をさすりつつ、教科書を投げた犯人に向かって叫ぶ。


「すみません。手が滑りました。」


犯人はニコニコ笑って、私の横に現れる。


「嘘吐け!!お前、確実に狙ってただろ!!」

「手が滑ったんですよ。本当にごめんなさい。」


「銀くんは悪くないよー!」


どこから出てきたのか、数人の女子がそう言ってくる。


「お前ら、銀に甘いんだよ!」

「アンタが悪いんでしょ!」

「なんでだよ!」


「あ…銀くん…」

「なんですか?春日さん」

「…ありがとう。」

「え…」

「みんな、ごめん!私が悪いんだ!私がバカだから!」

「そーだよ、元は春日がバカだから…」

「望美は悪くないよ!全部コイツのせいだって!」

「はぁ?!」

「そうですよ、春日さん。あなたは悪くありません。」

「銀くん…」



同じクラスの銀くんは、学年一の秀才で、しかも生徒会に入ってる。

まさに優等生。



かく言う私は、

何をやっても上手くいかない、正反対の劣等生。


今は自習の時間で。

私は分からないトコロがあったから、前の席の子に質問したら『お前、こんなのもわかんねーの?』って、馬鹿にされて。


気がついたら、銀くんが横にいた。



















放課後…

(図書室まだ開いてるかな…?)

私は先週借りた本を返そうと、図書室に向かっていた。


(…あ。銀くんだ。)


図書室に続く廊下の奥に、銀くんの姿を見つける。


「銀くん!」

「…春日さん」


振り向いた銀くんは、ふわりと微笑んでくれる。

「何してるの?」

「今さっき生徒会の会議が終わったんです。春日さんは?」

「図書室に行こうと思って。」

「え…10分前に閉まってしまいましたよ?」

「え!あぁ〜…そっかぁ…。まぁ…明日でいっか。返却、明日までだから♪」

「そうですか。……」

「?どうかした?」

「いえ……あの…春日さん。」

「ん?」

「一緒に帰りませんか?」

「…え?」

「何か用事が…?」

「ううん!全然!」

「それでは…いいですか?」

「うん!」








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