自由な短編集
□猫がもっとも懐いた男
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「祐輔、いるかっ」
俺の部屋の窓が開く。
時刻は……午前3時。
「………何?」
「おぉ、そこにいたか」
足元なのになんで気づかねーんだよ。
あれか?灯台下暗しってか?
「これをみろっ」
鈴が渡してきたのは、誰かからのラブレター。
「………あ、そう」
それを鈴に押し付けると布団をかぶる。
「それだけかっ」
「それ以外になんて言やぁいいんだよ……」
わからねーよ、俺のカスみたいな脳じゃ。
「おかしい。はるかがこれみせれば反応が変わるとか言ってた」
簡単に想像できる。
『これを使えば祐輔はイ・チ・コ・ロ、ですヨ♪』
……よし、明日はとことん嫌がらせしてやる。
「あいつは頭がイカれてるからなぁ。あんま信用すんなよ」
「わかった。おんなじようなことを恭介や理樹にも言われた」
うわ、信用ねぇ。
「で、なんでラブレターなんか俺に見せたんだよ」
「興味を引くためだ」
「何の」
「恋愛対象としてのだ」
よくわからん。
「…………」
え、何?何ですかぁ?
「あたし、祐輔が好きだ」