自由な短編集
□素直って……
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「はぁ……」
私、二木佳奈多は今ものすごく頭を痛めてる。
原因は……
「……だから何もやってねぇっつーの」
このアホだ。
実を言うと彼は「葉留佳にそそのかされた被害者」だ。
そりゃあみんなしっかり揚がってるトンカツが、一人だけ煮カツでさらにお子様ランチに付いてるような大日本帝国の旗が刺さっていれば犯人を探す。
誰かのせいだ、なんて彼なら言わずもがなわかるだろう。
そして葉留佳に仕返しを企てようとした彼、神崎祐輔を私が捕まえたという寸法だ。
「で、何をしようとしたの?」
「アイツの上履きの土踏まずの所に軽石を埋め込もうと……」
「ハッ、何その地味な嫌がらせ?」
さすが祐輔。地味で無駄に優しい。
「なぁ二木、俺まだ未遂だろ?いい加減解放……」
「ダメ。ペナルティーをまだ通告してないもの」
「ですよねー…」
まだ解放なんかするもんですか。
彼にさせたのは、庭そうじ。
ちょうど直枝理樹とクドリャフカが一緒に遊んでいた。