BBS



語り場です!最低限のネットマナーを守り、楽しくお話できたらなと思いますっ(*´V`*)

お友達希望も大歓迎です!リンクを貼って頂ければスキップしながら遊びにお邪魔させて頂きます♪+.

しかーし!荒らしや宣伝目的のものだと判断した場合は削除しますのであしからずm(_ _)m

※管理人多忙のため、現在リクエストは受け付けておりません。
.

[レス書込]
2 3 次へ 

10/24(Thu) 08:42
凪←青峰
白子

風が吹いて、彼女は髪をおさえた。
流れる黒髪は彼の目を奪う。

綺麗だと思った。
触れてみたいと思った。

手を伸ばせば届く距離。

それでも触れるのを躊躇うのは、俺と彼女は
違うからか。
――それとも、“その事”を言い訳にして
臆病な自分をごまかしたいからか。

分からないまま目をそらそうとした。け
れど。

不意に、相手がこちらを振り返った。

びくりと震えた自分に、彼女は気付かず
に手を伸ばし――

柔らかく腕を掴む。

「見て下さい、凄い綺麗な夕焼けですよ」

そう言って空を差す彼女は、口元に笑み
を浮かべ。

「……あぁ、綺麗だな」

その笑みに、掴まれた腕のぬくもりに、
確信させられる。

―――臆病者だ。

易々と手に触れた彼女にどうしようもな
い強さを感じた。

自分の女々しい悩みなど、彼女は軽く乗
り越える。

「凄い、綺麗だ」

その言葉を繰り返すのに精一杯で。

既にこちらから目を離し空を見上げる彼
女を、ただ見つめては溜め息を付いた。

――躊躇わず手を伸ばすお前を何より愛し
いと思う。

PC
[削除]

10/27(Sun) 21:21
凪→木吉
白子

「………おはよう」

小さく欠伸をしながら、フラフラと部屋から出る。椅子に座っていた木吉先輩に声を掛けた。

「あぁ、お早う」

少し顔を上げて、少し笑う。その静かな雰囲気が、朝の雰囲気に良く似合ってる。

毎朝一番に見れる、好きな風景の一つ。

「皆さんは?」
「まだ寝てる」
「あれ?珍しいですね、日向先輩とかリコ先輩は?」

いつも起きてるはずの人がいない。

「昨日は疲れたんだろ」
「……え?」
「……海、」

私が気付いた。

「……あぁ、一日中遊んでましたもんね」
「久しぶりに海で楽しんでいたからな」
「ふふっ、子どもみたいだった」

思い出して、笑う。

「じゃあ、皆さんが起きる前にご飯作りますね。木吉先輩もまだでしょ?今用意しますね」
「あぁ、すまん。頼む。……………いや」

首を振って、木吉先輩が立ち上がった


「……俺も手伝おう」
「……え?」
「駄目か?たまにはいいだろう、いつも作らせてるからな」

聞きながらもキッチンに入った木吉先輩は、多分断ってもやる気なんだろう。

ありがとうございます、と、素直にお礼を言った。

シャラシャラとお米を洗う木吉先輩の
手を見ながら、横でお味噌汁を作り始める。おかずだけはちょっと洋風にしようかと、ベーコンを焼いて、卵を落とす。
サラダに使えそうな野菜を探した。

合宿の時、私が皆さんの 朝ご飯を作るようになった。
「……健康になったかも」
「ん?」

お米の濁り水を流しながら、木吉先輩が聞き返した。手を休めない彼の、一挙一動が大人っぽくて、綺麗。

それを見ながら、木吉先輩に言葉を返した。

「皆さんしっかり朝ご飯食べてますから。健康かもって」
「そうだな。……朝は一日の始
まりだ、ちゃんと食わなきゃ体が動かない。一日中締まりが無くなるぞ」

そう言われて、ついつい笑った。

何だか、言ってる言葉が、

「……家族想いのお父さんだ」
「……俺の事か?」
「はい」
「……お父さんかぁ」
「いやでも、本当に、木吉先輩って、
良いお父さんになりそうです」
「良いお父さん?」
「うん。家族大切にしてる、良いお父さん。何が良くて何が駄目か、ちゃんと教えてくれる一家の大黒柱。こうやって、家事も手伝ってくれるし、」

炊飯釜を指差して、もう一度木吉先輩を見る。

「木吉先輩みたいな旦那さん。奥さん
になる人が羨ましいかも」

そう言って、

「……………」

黙った木吉先輩に、見つめ返された。

無言が分からず、自分の発言を頭で復唱する。

―――奥さんになる人が、羨ましい。

(――……あ、あれ?私凄い事言った!?)

告白みたいな言い方をしてる。照れて赤い顔を自覚しながら、慌てて木吉先輩を見た。

「あっ、あの今のはその――……」
「………そりゃ、凪ちゃんもだろ」

黙ってた木吉先輩が、笑った。

「……え?」
「凪ちゃんは良い母親になれる。良い妻にも。――何たって、あいつ等を手懐けちまったんだぞ?」

あいつ等、というのは、彼等の事だ。それをぼんやり思いながら、今度は木吉先輩の言葉を頭で復唱した。

「わっ、私が!?私が良い奥さん!?」
「……?自覚無ぃのか?なら、凪ちゃんはもっと自分に自信を持った方がいいな。凪ちゃんと結婚する奴は、幸せ者になれる。俺が保証してやる」
「………っ」

赤い。絶対顔が赤い。

慌てて顔を逸らしながら、ドキドキする胸を抑えた。少し落ち着くのを待って、眉を寄せる。

この人に褒められると、嬉しい。子供みたいに喜んでしまう自分がいる。でも。
でも今の言葉は、反則だ。
だって、口説かれてるみたいだった。

(………もしかして木吉先輩って天然なんだろうか。天然タラシだ。あぁこの言葉全然彼に似合わないけど、でも敢えて言います。天然タラシです)

彼を見直した。涼しい顔で手を動かす彼に、遊ばれてるようで悔しくなる。気持ちとは裏腹に、冷静な顔をして、やり返そうと口を開いた。

「……じゃ、私と木吉先輩が結婚したら、“良い夫婦”になれますね?」

どうだこんな言い方したら流石に照れるだろう、と、顔を見る。
けれど木吉先輩は、自分の様な反応もせず、少し考えてから、微笑った。

「良い夫婦、か。確かに、凪ちゃんとならそんなんがあってもいいかもしれないな。
――……が同じだったら」

その、一言。

「…………」

くすぐったかった空気が一気になくなって、隣で笑ってる木吉先輩が一気に遠くなる。

( ――…… 同じなら、)

その一言に、胸が苦しくなった。

彼と私には、いつか別れがあるのだと。
いつか別れる時の事を、しっかり頭に置いて、忘れないまま過ごしているのだと。

そう、言われた気がしたから。

「………大人」
「ん?」
「何でもないです。」

笑いかけながら、思う。

(……届かない、なぁ)

大人な木吉先輩には、いくら背伸びしても届かない。
私が見ようとしない景色を、いつだって見てるんだ。

「――おい、焦げてるぞ。……肉」
「――え、っあ!ああ!ベーコンがっ」

叫んで、フライパンを火から慌てて外す。
苦笑する彼を見て、心が痛んだ。

(……届かない)

心で繰り返し、唇を噛む。

子どもの自分は小さくて、木吉先輩の横に立つと余計それが際立ってる。そんな気がした。

PC
[削除]

10/27(Sun) 21:49
バットエンド
白子

「火神君」

そう一言名を呟いたが、返ってくるのは風の音だけだった。

ベッドに座って昼間の温もりに惑いながら、私はもう一度小さく、それでもさっきより大きな声で呟く。

「黒子君、」

返ってくる声はない。

風の、音だけ。

「………」

その風が皆さんのように思えて、誰もいない病室に問いかけた。

「――今、何、してる?」

遠い空の下。

戦う彼らを思う。

どんな戦だろうか。
誰と戦っているだろうか。


戻れ、るのかなぁ。

「気持ち悪いな……」

私には、わからない事がある。

先輩達は、「働け」と笑う。
リコ先輩は、「よくやった」と誉める。
火神君と黒子君は、「当たり前」と、

――私、は

そんな皆さんの中に、入れず。

笑う事も、誉める事も、聞こえない振りも、出来ず。

嬉しそうに笑う彼等、
見つめるだけ。

大きな背中を、見つめるだけ。

「………」

でも。それでも今は。

「………眩しい」

太陽に目を細めた。

あぁ。

私はただ、皆さんと、バスケしたいだけなのに、と。

「気持ち、悪い」

驚異した自分にしか、出せない答えはそこにあるはずなのに。

わからない問題に、気持ちが悪くて。

ただ、ただ、吐き気を抑えたくて。

また私は、小さく小さく繰り返す。この綺麗な空の下、ただ、それだけを。

“早く”と願いを込めて、その名を、みんなの名前を、呼び続ける事を。

(あぁ、早く戻らないと、この気持ち悪いものを早く忘れさせて。
心の隅に追いやっていれば、まだ、その答えは出さなくていいから)


誰にも負けない程に“ 驚異 ”な自分が、そこにいるのだとも、気付けずに。

PC
[削除]

10/28(Mon) 00:33
【彼の日記】
白子

〇月◇日 晴れ

今日は久しぶりに凪が泣いた。そよちゃんに怒られたらしい。泣きついて、ベッドで一緒に寝た。今も服を掴まれている。離
さない。暇だからこうして日記帳を開いた訳だが――便所に行きてぇ。行けないな。
頑張って我慢だ。


「お母さんお風呂空いたよ――あれ?
何そのノート?」
「………」

古ぼけたノート。部屋の中、それを開いたままの姿勢で立ち尽くしていたそよ子に、彼女が声を掛けた。

振り返ったそよ子が、そっと閉じる。彼女からは死角になる位置に、それを置いた。

少女を見つめる。

「……お母、さん?」

首を傾げる彼女を見下ろして、わしゃ、と頭を撫でる。

「………いや」

見下ろした彼女は、笑顔だった。

二人、クスリと笑い合った。



◇月●日 雪
ファミレスで晩飯食った。
「お父さんのご飯の方が美味しい」って言われた。

最近、だいぶ明るくなってきたと思う。
学校であった事、話してくれる様になった。おれは、どんなに眠くても疲れてても、それを聞く。聞きたい。娘の声が聞きたい。一つも零したくない。
ていうかもう、本当に可愛い。「どこの子よりうちの子が」っていう親の気持ちがわかった。可愛いすぎる。

友達に言ったら、「お前どんな親ばか
」って言われた。やべーおれ足踏み込んでたかもしれね。つうか、今後その道進める自信あるぞ。
凪に彼氏とか出来たら絶対相手一発殴らなきゃ気が済まねえだろな。
ボクシング習おう。

「……………、僕は凪のお父さんに殴られる覚悟をしなきゃならないな……」

うっかりその日記帳を読んだ赤司の、小さな呟きを聞く者はいなかった。

PC
[削除]

10/28(Mon) 08:49
白子

――お父さんみたいだ。

口に出さずに思う。

日向は父の様だった。
顔ではない。体格でもない。口調だって仕草だって、何一つ似ていない。けれど、その雰囲気がそっくりだった。
強くて優しい父。いつも、側で守ってくれていた父。その温もりが、一緒だった。

(そうだ、だから)

手を伸ばしかける。無意識に、彼の服の端を指先で掴み、かける。

(い、いけない)

慌てて手を引っ込めた。

父と歩くと服を掴む癖があった。自分のしていた、唯一の甘えだった。

凪の仕草に、日向も気付いたが、

「――………」

凪が少し居心地が悪そうにしている
ので、何も言わないでおいた。
――――― ――――― ―――――↓別パータン
スタスタ歩き出す彼が、直ぐに自分を追い越す。その広い背中を、追い掛ける様に、

「はい」

そう頷いて、手を伸ばす。

そのまま無意識に、彼の服の端を指先で、掴んだ。

父と歩くと服を掴む癖があった。自分のしていた、唯一の甘えだった。

自分の仕草に気付かなかった凪とは
違い、日向は直ぐにそれに気付いたが、

「――………」

凪が少し笑っているように見えたの
で、何も言わずにいておいた。

PC
[削除]

2 3 次へ 

[戻る]
[レス書込]
[TOPへ]



©フォレストページ