小説

□二人で、一緒に
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寺田屋にきて、早くも
二週間くらいたったの
だろうか。私はようやく
ここの生活に慣れてきた
ようだ。




わからないことも、皆に
素直にきいて、だいたい
のことはわかるように
なってきた。


だが、一つだけわからない
ことがある。


それはーーーーーー


「姉さんっ!!」

勢いよく襖があく。

そこには息をきらした
慎ちゃんがいた。


「いきなりあけてすいません!!
ただ、に、逃げて
下さいっス!!」

「え!?まさか、新撰組が?」

私の言葉のすぐあとに
私が逃げなければいけなかった
相手がいた。


「名無しさん〜っ!!
会いたかったぞおおお!!」

勢いよく私に抱き着くのは
高杉晋作。

そして、彼の隣で困った
ように微笑んでいるのは
桂小五郎。


「なっ、、なんで二人して
ここにいるんですかああ?!」

高杉さんに抱きしめ
られて、桂さんには
ほほ笑まれながら私は叫ぶ。

「なんだ名無しさん!俺様が
ここにいちゃいかんのか!!」

ふわっとお姫様だっこを
される。

いきなりのことだったから
私の心臓の鐘は非常事態を
告げているかのごとく、
激しく脈うっていた。


「ごめんね。名無しさんさん。
たまたま仕事でここを
通ったもんだから。晋作が
名無しさんさんに会いたいと
いって聞かなかったんだよ。」

桂さんはごめんね
とはいうものの、止めては
くれない。

何かを考えているようだ。

「駄目とかいってないです!
理由もわかりました!!けど
なんでこんな格好なん
ですか〜っ!!」

相変わらず私は高杉さんに
抱き抱えられたままだ。

「高杉さんっ!いくら高杉さん
でも、俺の姉さんに
そんなことしていいと
思ってるんスか!?」

ーーーはっ?慎ちゃん
いまなんてっ//////

またいきなりのことだった
ので、私の心臓の鐘は
鳴り止むどころかスピード
をあげてしまった。

「そうだよ晋作。そんなこと
をして名無しさんさんが
困っているじゃないか。」

ーーーそうですよ!!
桂さん!!やっと私の本音を
いってくれた!!

ーーーーーーん?


「名無しさんさんをそんな
乱暴にだくなんていくら
晋作でもだめだ。抱くなら
こう、優しく」

桂さんが優しく私を
高杉さんから離し、次は
桂さんが優しく私を
抱き上げた。

ーー桂さんなんか
ずれてますっ....

「ひっ!?桂さんっ!?」
またまたいきなりのこと
だったから私の心臓は
爆発寸前。


「おっと。そんな顔を真っ赤
にして。ごめんね。」

桂さんは優しく私を
下ろしてくれた。

「こうでもしないと、晋作
は君を離さないだろう?」

くすくすと桂さんは
笑いながら私の頭を撫でる。

ーーー桂さんまでおかしく
なったのかと思った!
私を高杉さんから離すため
だったんだね。よかった〜

「ありがとうございます!
桂さんっ」

私は桂さんにお礼をいった。

「どう致しまして。ふふっ、
そんな可愛らしい顔をして、
晋作からでなくとも、
君を守ってあげたくなるな。」


「えっ!?」

ははは、と桂さんは笑う。
大人の冗談ってやつだよね。


私は息を着く暇もなく

「小娘!!」

と呼ばれて後ろを
振り向いた。

私を小娘というのは
あの人しかいない....
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