小説

□譲らない
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午前中うっとおしいくらい
降っていた雨はあがり、空には
綺麗な虹が架かっていた。



午前中の出来事を思うと
心があったかくなる。


昼餉を食べて部屋に戻る
途中私は何か忘れていた
ことを思い出す。



「あ!!!!荷物ほったらかしだ!!」



部屋について部屋中を
みまわすと、散乱した
荷物がめについた。

ーーー整理するはずが
逆に汚してしまった...

私はやっちまったと
がっくり肩をおとす。


そしてある考えを
思いついた。





「洋服捨てよう!!もってても
使わないしね...荷物になって
皆に迷惑かけたくないし!」

ーーーーそれに、今の私は
たくさんの物を貰ったし!!!

かわいい簪やきれいな櫛
いい匂いのする匂い袋や
この時代には珍しいという
ガラス細工の小物。

皆が出かける度に買ってきて
くれるんだ。

『名無しさん〜!これ
かってきたぜよ!!
名無しさんに絶対似合うと
思うきに、
つい買ってきて
しもうたがじゃ』
『名無しさん。これ、
たまたま通りかかった
店で売ってたんだ。
たまたま目についたから
買っただけだ!!
...よかったら
受け取ってくれるか?』
『姉さん!姉さん!これ絶対
姉さんにあうと思うんス!
京で1番の店で買ったんス!』
『名無しさん。君のように
美しい物を見つけた。
まあ、君の方が美しいん
だけどね』

「あのときはほんとに
恥ずかしかったなあ///」


そう独り言を言い私は
洋服を集めようとした...が




なかなか捨てられない。

ーーーお気に入りだった
もんなあ....


ーーーーでも邪魔だし....



「そうだっ!」

私はすくっと立ち上がった。
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