小説
□貴方との距離
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今日はあいにくの雨。
おかげで日課の武市さんとの
いや、半平太さんとの
朝稽古もできず、朝餉を
頂いてから私はぼーっと
一人部屋では広すぎるほどの
部屋を眺めていた。
ーーー今までいろんなことが
あったなあ。
そうこうし始めていくらか
時間がたった頃、私の視界に
あるものが目についた。
かわいいウサギや熊、マカロン
やケーキの形をした人形が
たくさんついている私の
スクバ。また、合宿用に母親に
新調してもらったボストンバッグ。
ーーーそういえば私、合宿途中
だったもんね。
それが遥か昔のことのように
かんじる。
確かに昔のことなんだが、
不思議な気分だ。
ーーこっちにきてから
だいぶ時間がたったし、
この際いらないものは
捨ててしまおう。
私はそれから、荷物の整理を
することにした。