ツガイドリ

□飴と鞭の使い方
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『はっ・・・はぁ、』



『君の顔。見なくても。イザヤがどんな顔してるか、よく判るよ。顔赤くしてさ、眉間に皺寄せて。少し涙目で、でも気持ち良くて、とろけそうな顔』



『るせぇ・・・お前、ホント最低だな』



『君は俺に噛まれたり舐められたりするの、大好きだもんね』



『・・・お前が、そう仕込んだんだろ』


ヴィルの頭を抱きかかえて
執拗な舌使いを堪能する。
気持ちよくなってしまえば
恍惚に溺れるだけだ。
そりゃあ、嫌いな訳がない。
人間なんて所詮動物で
快楽には到底敵わないのだから。
理性が。プライドが。邪魔をするから
四六時中、腰を振る訳にもいかないが
この行為自体は、嫌いじゃない。
何だかんだ言っても雄だから
キモチイイには、とりわけ
弱いように出来ている。



『下、触っていい?』



『だから、何で聞くんだよ・・・』



『今日は少し反省してるから』



『・・・好きにしろ』



『舐めるのは?』



『タチ悪いな。聞かないで好きにしろって・・・改まって聞かれると、気持ち悪い』


『ん? 恥ずかしいって? やっぱり。君って。可愛いなあ』



どうなるか十分判っていて
今日も今日とて。流されてしまう。
結局、彼の言うとおり
最後には受け入れるのだから
抗わなければいいのかもしれないが
流石に全部許してたら、俺が死ぬ。
ただでさえ、コイツは
人並み以上に激しいのだから。
断罪者だから、とか。人外だから、とか。
そーゆー問題じゃなく多分
彼の性癖の問題であって
以前、此処に至るまでの間に
女はいなかったのかと聞いたら
いたけど、散々変態プレイを要求したら
最終的には、こっぴどく振られたと
笑いながら言っていた。
俺にとっては笑えない話だ。
既にその兆候は見え始めているのだから。



『ヴィル・・・ッ』


『ん?』


『・・・、やべぇ』


『いいよ。出して』



しつこく絡みつく手と口で
思いっきりイかされて
ヴィルの手にぶっかけた。
多少申し訳ない気持ちになるが
彼は嬉しそうに、それを
舐めずっていたから
なんかどうでもよくなってしまう。
慣れた手付きが、今度は自分の番だと
だらしなく開いた俺の脚の合間を縫って
早く繋がりたいが一心で慣らし始める。
ちゃっかりローションやらゴムやら
携帯してた辺りに
確信犯的なものを感じる。
引っ越し早々、最初に
お目にかかるようなものでもない。
指でしつこくかき回されて身震いする。
今日のヴィルは、実にたちが悪い。
入念に慣らされたそこは
潤滑も上手い具合に音を立て。
はちきれそうな程、肥大したソレを
遠慮無く叩き込まれると
その圧迫感に、思いっきり鳴いた。
ギリギリと立てた爪が
彼の皮膚に食い込んだのは判ったけど
そのまま勢い良く腰を打ちつけてきたから
それを労るような余裕もなく。
新しいベッドを早速
汚すのかと思いつつも
善がる身体にブレーキなんか無い。
まあ、いつものことだが。
我ながら、よくこんな
物騒なもんが入るな、とは思う。
ギチギチと。痛みはするが
慣れ親しんだ行為だ。
その良さも身体が覚えてる。



『ん・・・っ、ヴィル』



『ん?』



『気持ち、いいか?』



『・・・当たり前だろ。君を抱く度に。なんかもう・・・気が狂いそうになる』




『そっか。じゃあ、もっとしろ・・・』



『───っ、そんな風に言われたら、俺。余裕無くなるよ』



俺の言葉にいちいち反応するから
大きくなるのもよく判る。
ベッドの軋む音と、肌がぶつかる音と
粘着質な音が、部屋に響く。
ただ貪るように脚を開いて腰を振って
雌のように、キスを強請る。
キスされながら下を犯されるのが好きだ。
舌を絡ませながら、少し乱暴に
突かれると、すぐ果てそうになる。
揺さぶられて喘ぎ狂って
体位を変えられても、必死に耐えながら
彼の玩具に徹する。



『・・・一眠りしたらっ・・・飯、行くぞ・・・っ』



『ああ。やっぱり。デート、してくれるんだ。うれしいなあ・・・』



また、可愛く笑ったから。
思わず頬にキスをした。
その無神経さに無性に苛立つのに
打算的で、我が儘なのに。
どうしても敵わない。
流されて流されて。
滅茶苦茶に甘やかして。
俺を食い殺そうとしてる姿さえも
可愛い可愛いと。
本当にどうかしてる。
ヴィルが喜ぶなら結局それでいいのだ。
可愛く笑って俺だけを目に映していたら
それだけで気持ち良くて
仕方ないのだから。
俺は、完全にイカレてる。
俺にも、その自覚はある。
口と身体は別人格なのかもしれない。
ただ一つ、良識の話をするならば
窓が開いてたことをすっかり忘れて
娼婦さながらに鳴き狂っていたので
せめて外に誰もいなかった事を祈る。
越してきて早々変態カップルの
レッテルは貼られたくないから。


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