ロジパラEXT

□教師と生徒のワンダフルデイズ
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[魔法使いの話]





魔法はファンタジーだ。無から有を作り出す。
そこに理屈なんてない。ただ生み出すのだ。
ただし、創造はポジティブであるべきだ。
あくまで持論だが、そこにマイナス因子を
混ぜるべきじゃない。
それは忽ち悪魔の域に達するから。





『誠君。君は、魔法が使えたら何をする?』


『魔法?オレは・・・家族をころした奴らをみなごろしにしてやる』



『そうか。じゃあ、教えない』



『は・・・?』



『いやあ、魔法はファンタジーだからね。そんな残酷な事を考えてるようじゃ使えないさ。子供の君になら教えてあげてもいいかと思ったけど、憎しみを湛えてるなら駄目だ』



『じじい、あんた魔法が使えるのか?』



『じ、じじいって言うな!クソガキが!まだナウでヤングなお年頃だぞ!』



『うるせえ!訳わかんねえこと言うな!じじいはじじいだろ!?それよりも、あんた、魔法使えんのかって聞いてんだよ!?』



『まず、じじいを訂正しろ!話はそれからだ!』



『面倒くせえじじいだな!』




『やかましいぞ。何を騒いでる?』



『あ、先生!質問です、真木のじいさんって魔法が使えるんですか?何か今それらしい事を言われたんですけど・・・』



『魔法?そりゃあ、使えるだろうさ。彼は魔法使いだからな』



『ほ、本当に?!』



『ああ。魔法使いと言えば魔法使いだし、妖怪と言えば妖怪だし、この世ならざる存在なのは確かだ。落ちぶれた神様みたいなものだからな。彼に不可能はない、という点で言えば確かに偉大な魔法使いかもしれない』



『HAHAHAどうだ!すげえだろ!参ったか!見直したか!』




『じゃあ、オレにも魔法教えてくれよ!』



『やだ』



『なんでだよ!いいじゃん、ちょっとぐらい!さっき教えるような素振りだったじゃんか!』



『だから教えないって言ったじゃん!君には教えない!』



『何でそんなに意地悪なんだよ、腐れじじい!』



『だって君、物騒なんだもの〜。君に魔法なんか授けたら気に入らない世界を一夜にして壊滅させそう』



『しねえよ!あんた、オレを何だと思ってんだ!』



『子供。生意気なクソガキ。ワガママ坊や。暴走特急。聞き分けのないチビっこ』



『先生!真木のじいさんが、苛めるっ!』



『はぁ・・・もうその辺にしておきなさい、二人とも。誠はそろそろ寝なさい。夜更かしは良くないよ』



『・・・、でもっ』



『明日。魔法ではないが、軽い召喚術を教えてあげるから。今日は寝なさい。それでも反抗するなら、何も教えないよ』



『・・・はい。おやすみなさい』



『HAHAHA僕の勝ちだぜ!』




『覚えとけよ、クソジジイ・・・』









───────────────・・・
──────────────・・・






『はい、愁水くん。紅茶』



『ああ、すまんな。真木』



『しっかし、あれだねえ。誠くんはまだ憎しみにとらわれてるよ〜。復讐と皆殺しが夢なんだもの』



『そりゃあな。簡単に消えるものでもないさ。まだ子供だ。家族を失った憎しみや怒りが簡単に消えてしまうなら、薄情ってやつだろう』



『白と似ているね』



『ああ。悲しい事に』



『僕は思うんだ。魔法はね、何にもないところに何かを描く幻想なんだよ。無から有を生み出す力が負の感情じゃダメなのさ。悪夢になる』



『ああ。そうだな』



『彼がいつか“殺してやる”じゃなく。何かを“守りたい”って言えるようになったら、魔法を教えてあげようかなって思うよ』



『当面先の話だろうがな。きっと、そう言えるようになる頃には、いい男になってるよ、あの子も』




『うんうん。楽しみだねえ』




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